炭素繊維を用いた材料が、耐震補強材として日本で初めて製品規格の認定を受けた。小松マテーレが「カボコーマ・ストランドロッド」の名称で市場展開を進めてきたもので、日本産業標準審査会技術専門委員会の承認を経て、日本産業規格(JIS)を取得、11月20日に官報に告示された。一般的に標準化に3~5年を要するところ、経済産業省の「新市場創造型標準化制度」を活用したことにより、石川県、石川県工業試験場の支援の下、採択から2年で標準化が可能となった。
 耐震改修促進法によると、増床とみなされなければ炭素繊維を耐震補強材として用いることは可能。しかし現行の建築基準法では建造物の柱や梁、土台部分などに用いる構造材として炭素繊維の使用は認められていない。小松マテーレは建築家の隈研吾氏とも連携し、2015年に完成した旧本社社屋の耐震補強工事にカボコーマ・ストランドロッドを用いることで、炭素繊維複合材料の有用性を示し、その後も善光寺経蔵(長野県)や富岡製糸場(群馬県)などといった重要文化財で実績を積み重ねてきた。来夏完成予定の富士屋ホテル花御殿(神奈川県)にも採用が決まっている。
 カボコーマ・ストランドロッドは金沢工業大学革新複合材料研究開発センターと共同開発した炭素繊維複合材料製のロッドで、伝統産業である組み紐と炭素繊維の技術を融合した強さとしなやかさを両立するロープ状材料。マトリックスには熱可塑性樹脂を用いており2次加工もしやすい。鋼材より高価だが、軽量で作業性や施工性に優れ、施工費が安価となるなどの特徴がある。ロッドを巻いた状態で搬入できるため輸送コストも極小化でき、錆びず結露もしないため経年劣化に強く、建築物の木材を傷つけないなど利点を挙げればキリがない。
 国内には新耐震基準を満たしていない木造住宅が約1万3000棟現存し、それらの耐震補強が急がれている。住宅の耐震補強には鋼材が多く用いられてきたが、重さや錆びによる腐食などの課題が顕在化している。カボコーマ・ストランドロッドの普及加速には耐震補強工法としての認定も必要。小松マテーレは日本建築防災協会など業界団体から来年の認定取得を目指している。航空機や産業機械、スポーツ用途などで注目される炭素繊維だが、建築分野でも特性は大いに生かせる。この製品はコンポジットの世界的展示会「JECワールド」でも昨年、アワードを受賞するなど海外からも評価されている。日本発の社会的資産を守る材料として大きく発展してほしい。

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