多様な地域・多彩な特性が存在することで「日本の縮図」といわれる兵庫県。阪神・播磨臨海地域の二大工業地帯を中心とした鉄鋼、機械、化学ほか、食品、ファッション関連などの幾多の産業が集積している。また高い技術力・開発力を持つ企業が先端医療、航空・宇宙、ロボット、次世代エネルギーといった次世代産業分野に積極的に進出している。さらに神戸医療産業都市や播磨科学公園都市といった先駆的プロジェクトを通じ世界最先端の科学技術基盤が構築されるなど、県内のモノづくり産業の成長を支えている。
 近年の本格的な人口減少や少子高齢化、グロバール化にともなう産業構造の変化によって経済環境が大きく変化するなか、兵庫県では地域ごとの産業特性や地域資源、個性ある強みを生かし、さまざまな産業振興策を展開している。県内には世界有数の大型放射光施設「SPring―8」、X線自由電子レーザー施設「SACLA」、スーパーコンピューター「京」が立地しているが、こうした先端科学技術基盤とともに、企業や技術の集積を生かし、成長が見込まれる先端分野での産業創出・育成に力を注いでいる。また多彩で優れた技術・製品、ノウハウを有する中小企業が多く存在し、こうした企業の異業種交流や、人工知能(AI)・IoT(モノのインターネット)の活用を支援することで、企業の経営革新および地域産業の競争力強化を目指している。
 一方、新たな活力を生み出す起業・創業を促すため、女性・若手・シニア起業家に加えてミドル層の事業立ち上げを支援している。さらに起業に興味のある人、起業したばかりの人たちを支援するための拠点「起業プラザひょうご」を開設し、支援体制の充実化を図っている。また人手不足が深刻化するなか、若者の流出に歯止めをかけるために「ひょうごで働こうプロジェクト!」を推進。UJIターン者を含めた県内就職を促進している。
 日本では、地方から東京など都市圏への人口の移動・流出が続いている。とくに若年者の流出を止め、都市圏から地方の経済圏へのUターン・Iターンを増やすことは地域経済の活性化に欠かせない。ただ地域経済を支える人材を確保・育成していくには、これら地域で働きたくなるような魅力ある環境を整備し、持続的な経済成長を果たしていく好循環を生み出す必要がある。日本経済活性化のためには、地域経済の活性化が不可欠だ。兵庫県には、自らが有する強みやポテンシャルを生かし、新たな時代を切り拓く産業振興を実現してもらいたい。

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