産業機械、プラントメーカーが欧州市場に注目している。日系企業は長年、アジア地域を主戦場としていた。しかし近年はグローバル競争の激化、電気自動車(EV)開発の加速、環境問題の深刻化、日本と同様に少子高齢化・熟練作業者の退職が進むなか、欧州市場でもビジネスチャンスが拡大している。
 日系企業は産業機械、分析機器の基本技術の多くを欧米諸国から導入した。また欧州には老舗企業が多数存在するため、類似品を日系企業が輸出しても欧州では苦戦。大半の日系企業は中国や東南アジア地域で事業展開している。
 一方、環境問題への対応が地球規模で深刻化するなか、欧州ではEV普及に本腰を入れている。ガソリン車と比べ、EVは電装プラスチック部品を大量に搭載するため、精密プラ部品向け電気式射出成形機の需要増が見込まれる。
 現在、欧州の射出成形機メーカーは油圧式が大半を占めており、電気式を得意とする日系企業にチャンスがありそう。日精樹脂工業は今春、東欧のスロバキアに販売現地代理店「ニッセイ・ヨーロッパ」を設立した。東洋機械金属は今夏、販売取引があるイタリアの欧州代理店「RPインジェクション」の親会社の株式を取得している。
 東芝機械は、9月にイタリアで新会社「シバウラ・マシン・ヨーロッパ」を設立している。住友重機械工業は傘下の射出成形機メーカー、独デマーグに電気式の技術を移植している。
 IHIでは今年、トルコの汎用ターボ圧縮機の新工場が本格的に稼働入りした。パートナー企業の現地大手ダルガキランと連携し欧州、ロシア、中近東、北アフリカ地域で市場攻勢をかける。これら地域は一般にスクリュー式圧縮機を使う。IHIは、消費電力が少ない汎用ターボ圧縮機の採用が広がるとみて受注を狙う。
 分析機器業界も欧州に熱い視線を送る。マウンテックはパートナーの独PUCと連携、粉体材料の全自動比表面積測定装置の市場開拓を進めている。欧州は日本と同様に少子高齢化で熟練作業者の減少が進む。現地は手動の装置が大半だが、誰でも同じ計測結果を得られる全自動のニーズが高い。
 また日系企業にとって、欧州に限らず中近東、ロシア、中央アジア、北アフリカなどへのアプローチも重要だ。これら地域は伝統的・圧倒的に欧州の産業機械メーカーが強い。しかし日系企業によるサービス拠点、現地パートナー企業との連携、ITを使った遠隔監視サービスといった条件が揃えば、新規顧客として期待できそうだ。

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