相次ぐ大型台風により日本のインフラの脆弱性がクローズアップされている。強風による被害が多発した台風15号に続き、台風19号では大雨により100カ所以上で河川の堤防が決壊。80人を超える死者を出すこととなった。日本の河川では長年にわたり治水対策がなされており多くのダムや堤防が築かれ、ある程度の降水に耐える体制が整っていると考えられてきた。しかし「100年に一度」の大雨という巨大な力に耐え切れなかったというのが現実だ。
 かけがえのない命が多数失われただけでなく、多くの家屋や店舗、工場、倉庫なども水に浸かり、農作地も多大な被害を受けた。被災工場から毒物の流出も起きた。災害ごみも大量に発生しており、その規模は数百万トンで処理には2年以上を要するとも報道されている。
 「100年に一度」と表現されてはいるものの、地球温暖化など近年の自然環境の変化が原因になっているとすれば、こうした規模の台風は今後も発生するという見方をしておく必要がある。一方、数十年単位という長大なスパンで計画される河川の治水政策においても、川幅を広げたり堤防の厚みを増したりといった根本的な対策を組み込むには予算がかかりすぎることもあり、現行のプロジェクトが完遂しても安心しきれない河川が残るなど課題は尽きない。
 一定の降雨量までは雨水を地下貯留したり、ビルなどの屋上から水路まで雨水が流れ込むまでの時間を延長させたりする製品も有用だ。こうした製品は1件ごとの規模は小さくても数が増えれば増えるほど効果を発揮するため、引き続き普及を後押しする政策が必要だろう。
 しかし今回の台風は、そうした努力を帳消しにしてしまうほどのインパクトがあった。今後も貯水池の拡張などの対策が進められていくことになるが、土地面積に限りのある河川の上流地域などでは実効性のある対策をとるにも障壁は多い。地域によっては、河川の氾濫を防ぎきれないものと捉え、それでも生き延びるために何をすべきかという視点を考慮せざるを得ないのではないか。
 一例では止水性能を高める住宅が提案されている。ドアや基礎などからの浸水を防ぐ工夫がなされたもので、各所にパッキンや逆流防止の弁体を取り付けて床上浸水から宅内を守る。堤防を強靱化するための樹脂資材の、さらなる活用も一案だ。自然環境の変化によって対策商品にかけられるコスト水準は変化すると想定される。発想の幅を広げることで、今必要とされる対策商品を生み出していくことが喫緊の課題だ。

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