日本の石油精製と石油化学が従来にない規模で連携を深める兆しが出てきた。石油精製は業界再編が一段落したが、一休みする余裕のないほど石油製品の国内需要減退という大きな課題に直面している。一方の石油化学もここ数年続いた利幅拡大期が終わりを告げ、体質強化が待ったなしの状況に変わりつつある。精製・石化の連携はこの20年ほどで一定に進んだが、業界や資本の枠にとらわれない大胆な連携にはいたっていない。しかし石化を拡大させたい石油精製企業と、脱汎用石化を目指す化学企業の思惑が一致する今こそ、事業・設備の資本構成変更や設備の統廃合などまで踏み込んだ再編を進める好機だ。
 国内最大の石油精製能力を持つJXTGエネルギーの親会社JXTGホールディングスは2020年度に始動する次期中期経営計画を策定中だが「最大のテーマは石化」(杉森務社長)だ。人口減少や電気自動車(EV)などの普及を背景に、ガソリンなどの石油製品需要は40年には現在の半分になる可能性がある。全国の製油所22カ所の半数を有する同社グループは、いよいよケミカルリファイナリー化に本腰を入れる構えだ。「石化にシフトできる体制を作らなければならない」(同)と危機感を強くする。
 その一手が鹿島での三菱ケミカルとの連携強化策。同社工場と隣接する鹿島製油所は、JXTGエネルギーの主力製油所の一つだが、運営する鹿島石油および鹿島アロマティックスに三菱ケミカルがマイナー出資しているなど、連携は今に始まったことではない。しかし、これらはリーマンショック前の石化好況期の連携策だ。
 JXTGエネルギーと三菱ケミカルは今回、折半出資の有限責任事業組合(LLP)を設立し、踏み込んだ連携を検討することを決めた。具体策は22年3月までに詰めるが、石化のボラティリティが高まるなか、汎用石化の縮小・撤退を進めてきた三菱ケミカルと、石油製品から石化へシフトする必要があるJXTGグループが、事業・設備の資本組み替えや設備の統廃合まで踏み込んだ議論を行うであろうことは想像に難くない。
 すでに千葉において、出光興産と三井化学が各自のナフサクラッカーを共同運営するLLPを設立しており、約10年が経過している。ただ当初、これを第一ステップに、製油所との一体運営まで踏み込むことまで検討するとしていたが、実現にはいたっていない。
 取り巻く事業環境は刻々と変化している。世界と戦ううえでウィンウィンとなる構想を早期に具体化する必要があろう。

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