今夏の「骨太方針2019」の策定に向け、4月10日に開かれた第5回経済財政諮問会議では、社会保障やジョブ型雇用時代の人的資本投資などに関する幅広い議論がなされた。いずれも、わが国の持続的発展に向けた重要なテーマと言えよう。
 医療・介護分野における社会保障制度改革は、高齢化が進み医療・介護人材が不足するなかで重要な課題となっている。この課題を克服するため、政府として経済・財政の再生計画を確実に実行して欲しい。
 政府は2040年を展望し、今夏をめどに「健康寿命延伸プラン」と「医療・福祉サービス改革プラン」を策定すべく、作業を進めている。そのなかで40年に向けて新たな目標を設けて取り組んでいく。健康寿命を3年以上延伸し、75歳以上とするとともに、医療・福祉分野の生産性を全体で5%向上させる方針だ。これにより将来の総就業者数を増やし、併せて少ない人数で回せる医療・福祉の現場の実現を図るという。また医療・福祉サービスや介護へのロボット・AI・ICTの活用により介護者の負担を軽減すれば、生産性の向上にも寄与することができるだろう。
 社会保障に関する議論では薬価も取り上げられた。診療報酬改定に基づき、これまで薬価は引き下げられてきたが、製薬企業の経営を圧迫し始めている。医薬品の研究開発には膨大な費用がかかる。国内の製薬企業がグローバル市場で生き残っていくためにも薬価のあり方に対する深い議論を求めたい。
 介護保険制度についても話題に上った。介護度が改善した場合にこそインセンティブが得られるような仕組みが必要、との意見もある。
 一方、ジョブ型雇用時代の人的資本投資は、バブル崩壊後の就職氷河期に社会人となり、非正規社員で働かざるを得ない30~40代半ばを対象にした就職支援の強化が主要なテーマ。この世代は正社員で働く人がいる一方、フリーターが52万人(35~44歳人口の3・1%)、フリーター以外の非正規社員が317万人(同18・8%)おり、この世代の全人口約1700万人の約2割にも相当する。いわゆる「ニート」と呼ばれるような無業者も、この世代は40万人台で高止まりしている。求人は地域や職種によって、かなり偏りがある。こうした人々が必要なスキルを得てキャリアアップを図り、安定した働き方ができるような仕組みを構築することが必要だ。農業、建築、内航船、プラスチック加工業など人の足りない職場は多い。こうしたミスマッチをなくすためにも新たな支援策が必要ではないか。

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