企業業績の先行きに不透明感が漂っている。発表を終えた化学各社の4~9月期決算をみると、米中貿易摩擦に端を発した世界経済の減速、なかでも中国経済が明らかに元気がなく、これが各社の業績に大きくのしかかる。半導体市場は底打ちとの観測が出ているものの、不安を払拭するほどの回復要因にはならない。通期業績予想を下方修正する企業も相次いでおり、いかに下振れを抑えられるか正念場を迎えている。
 中国経済の減速は自動車分野やスマートフォンなどの需要に直結し、これらの分野に力を入れてきた日本の化学企業の業績に打撃を与えた。化学品市況の下落もマイナス要因となっている。さらに日韓関係悪化にともなう影響も計り知れない。為替動向も含めて、これらの動きを注視する必要がある。
 ましてや中小企業が乱立する日本の化学産業は厳しい環境にある。日本政策金融公庫発表の10月の中小企業景況調査によると、売上DIは前月から4・0ポイント低下のマイナス10・0、10~12月の売上見通しDIは同1・2ポイント低下のマイナス10・8となった。利益額DIも同3・9ポイント低下のマイナス6・5など軒並み悪化しており、先行きの厳しさを映し出した。
 米中貿易戦争の影響で製造業を中心とした雇用情勢にも陰りが見える。厚生労働省が発表した9月の有効求人倍率は1・57倍で前月比0・02ポイント低下した。また総務省による同月の完全失業率は2・4%で、前月よりも0・2ポイント上昇。完全失業者数は6カ月ぶりに増加している。
 先行き不透明感があるなかで持続成長を目指すには、企業のさらなる自助努力が欠かせないだろう。各社はリーマンショックなど幾度の過去の反省から強靱な経営基盤の構築に取り組んだ。あらゆるコスト削減に取り組む一方で、成長分野に位置づける情報通信、ライフサイエンス、環境・エネルギーなどで付加価値の高い高機能製品へのシフトを強めてきた。それによって外部環境に左右されない事業ポートフォリオの構築も一定に築いたはずだ。
 一方、過去の決算をみると、減益を強いられるなかにあって高付加価値品を揃える事業の収益は堅調な企業が多かった。その点では、今回のように自動車やスマホなど各社が高機能分野に位置づける市場の落ち込みから受ける影響は大きい。市場が上向いた際に攻勢をかける準備を進めるとともに、常に新たな芽を生み出せる研究開発体制が確立されているかも問われる。この厳しい経営環境は、各社が必死に構築した経営基盤を再確認する機会でもある。

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