二酸化炭素(CO2)の回収・貯留・利用(CCSU)技術が再び注目を集めている。このほど出光興産と宇部興産、日揮がCO2から炭酸塩を製造するプロセスの開発を目指す研究会を設立した。軽井沢で開かれたG20環境・エネルギー関係閣僚会合では、CO2を燃料や原料として再利用する「カーボンリサイクル」を共同で推進していくことが確認された。地球温暖化対策の切り札とされてきた技術の今後が期待される。
 排ガス中のCO2を分離・回収して地中深くに埋めたり、化学品原料などに再利用するCCSUは、化石燃料由来のCO2を大幅に削減できる。パリ協定の目標達成にもCCSUの推進は不可欠だ。技術的にはCO2を貯留するCCSが先行しており、日本では地球環境産業技術研究機構(RITE)が中心となって研究が進められ、北海道苫小牧沖で日本CCS調査が大規模実証を行っている。
 ただ国内でCCSは注目されてこなかった。その理由の一つがコスト。石炭火力発電と組み合わせた場合、太陽光発電や風力発電と同程度との試算もあるが、再エネ発電と違い、CCSのコストはそのままコストにしかならない。海外ではCO2を油田に圧入して石油を増進回収するEORが実用化されているが日本には適地がない。
 CCSを日本の選択肢と考える人は少なかったが、CO2を資源化して再利用するCCUの技術開発が進んできたことで様子が変わってきた。CO2からメタンを製造するメタネーションなどで成果が出ている。出光など3社が設立した研究会は、カルシウムを多く含む産業廃棄物とCO2を反応させて炭酸塩などを得る技術の開発に取り組む。建築・土木材料、各種工業材料などへの活用を想定する。
 一方、軽井沢のG20で、そのコンセプトが認められたカーボンリサイクルは、今月初めに経済産業省が技術ロードマップを公表している。中心となるプロセスの一つが、CO2と水素から一酸化炭素と水素の合成ガスを製造し、それをメタノールやエタノールに転換する技術。ここからオレフィンやBTXなどを経て、さまざまな化学品に変えていくという。日本が強みとする化学技術を応用した領域に照準を定めている。
 CO2を原燃料として資源化する利用技術だけでなく、吸収剤や分離膜などの分離・回収技術でも日本は世界をリードするポジション。回収技術は、CCSUの実用化に向けたトータルコストの削減で最も重要な技術だ。脱炭素社会の実現に果たすCCSU、そして日本の化学技術の役割は増している。

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