異業種を含めた自動運転の実用化に向けた取り組みの活発化を背景に、要素技術の開発競争が激しさを増している。覇権を狙い各社がしのぎを削るなか、自動運転のコア技術の一つである高精度3次元道路地図(HDマップ)を手がけるダイナミックマップ基盤が、デファクトスタンダード化に乗り出す。北米でGMにマップデータを提供するUshr(ミシガン州)を買収するもの。ダイナミックマップ基盤では、展開地域の拡大と本格実用化を睨んだ技術・製品のレベルアップを図る。
 自動運転では、車両制御システムが「ロケーション」の認知と「道路環境確認」「ルート作成」を行う。マップデータは自車位置を特定するための地物や車両センシング向けの情報、先読み情報として必須。HDマップは、渋滞や通行規制などの動的な位置情報を組み合わせたデジタル地図のベースとなる。
 ダイナミックマップ基盤には国内自動車メーカー9社をはじめ地図情報の調査・製作・販売を行うゼンリンなどが出資。HDデータの協調領域と競争領域のうち、衛星測位・計測・図化および、それらの統合(仕様)やデータの更新手法などの協調領域を対象に、自動運転に必要な絶対精度やベクトルデータとして、全国自動車専用道路データの車載を可能としたHDマップを展開する。米Ushrの買収は、日米で仕様とデータ更新手法を共通化することで、展開するHDマップデータを協調領域のデファクトスタンダードとするのが狙い。
 買収によって世界の自動車生産台数の3割を占める日系メーカーにGMも加わり、生産規模1000万台クラスではVWを除くトヨタ自動車、ルノー・日産・三菱連合、GMとの関係を構築する。またUshrは、誤差4インチの高精度な北米の高速道路のHDマップデータ(約20万キロメートル)を有するほか、キャデラックの運転支援システム「スーパー・クルーズ」への採用・搭載により、世界初の量産車両におけるハンズフリー運転の実現に貢献している。今後本格化するであろう自動運転の実用化に向け、知見・ノウハウを蓄積するうえでも有効だろう。
 マップデータで先行するグーグルは、グループ企業のウェイモで自動運転システムそのものの開発を進める。パソコンのOSになぞらえれば、ソフトからハードまで手がけるアップルがグーグル(アルファベット)、OS開発に特化したマイクロソフトがダイナミックマップ基盤といったところ。事業領域を絞り、広く顧客を取り込む戦略により次世代技術の覇権を握れるか、取り組みが注目される。

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