2020年から全世界的に開始される船舶燃料の硫黄分濃度規制(SOx規制)強化へ向けた準備が国内で着々と進んでいる。国土交通省は、今年秋からの供給が予定されている規制適合油を使用して実際に内航船4隻を運航するトライアル事業をこのほど実施。いずれも問題なく燃料切り替え・運航が可能なことを確認した。
 20年からの規制強化は船舶による大気汚染防止へ向け排気ガス中の硫黄酸化物(SOx)およびSOxから生成される粒子状物質(PM)を削減することを目的としたもの。燃料油の含有硫黄分濃度が現行の「3・5%以下」から「0・5%以下」となる。現在、主流の高硫黄C重油などを、そのまま使用することはできなくなる。
 規制への対応策として低硫黄燃料の使用、スクラバーと呼ばれる排ガス脱硫装置の船舶への設置、液化天然ガス(LNG)など硫黄分を含まない代替燃料の使用などが挙げられる。499総トンなどの小型船が少なくない内航海運では、低硫黄の規制適合燃料の使用が最も現実的とされる。
 こうしたなか国交省は、舶用機関や燃料油などに関係する学識者、関係業界(海運事業者・舶用機器メーカー・造船所)実務者らによる「燃料油の性状変化への対応に関する検討会」を設置し、海運事業者が規制強化へ円滑に対応するための対策などを検討。今春には燃料油に係る船舶の設備などの調査、燃料油の配管内移送・混合安定性などの確認試験を行い、これらをまとめた規制適合油の使用に関する手引書を作成した。
 適合燃料油は国内で今年秋ごろから供給が始まる。これにともない同省は規制適合油を使用して実際に船舶を運航するトライアル事業を進めている。第1弾として鋼材運搬船とセメント運搬船の4隻(総トン数499~749トン)を用いて6月27日から約1週間、規制適合油へ燃料を切り替え、外洋・瀬戸内海を含む航路で運航を行った。
 内航海運は国内貨物輸送の4割超、産業基礎物資輸送の約8割を担うわが国の基幹的輸送インフラとなっている。引き続きその使命を果たしていくためには規制に適合する低硫黄燃料油の安定的かつ適正価格での供給が不可欠となる。今回のトライアルで4隻すべて問題が生じることなく燃料切り替え・運航が可能であることが確認されたことは、大きな成果と言える。
 燃料切り替えにともなうコスト増について、負担を荷主、利用者にも要請しやすい環境作りなど取り組むべき課題は多い。規制強化まで残り6カ月弱。あまり時間は残されていない。

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