国内外を問わず生産現場の人材確保は重要課題である。とくに世界の工場と言われてきた中国では人件費高騰が指摘されるなか、育て上げた人材を維持し続けていく取り組みが求められる。米中貿易摩擦や環境規制強化の煽りを受けるなかでも、巨大市場である中国の重要性はいぜん高く、各社の試行錯誤が続いている。
 日本能率協会が発表した2019年度「GOOD FACTORY賞」では、総合的にレベルが高くバランスのとれた工場運営の良さを表彰する「ファクトリーマネジメント賞」6件のうち4件が中国拠点だった。
 そのなかで上海花王は、人材育成や環境保全、他工場との連携、地域との交流など、総合的な工場のマネジメントレベル向上に向けた活動などが評価された。サニタリー製品、衣料用洗剤、スキンケア製品、化粧品などの生産拠点で、花王グループのサニタリー工場のなかでトップクラスの生産性を誇る。現地管理者層を核に、事前準備や達成度・有効性確認の強化などに取り組んでいる。
 東レの江蘇省南通拠点は、テキスタイル事業における工場改革・競争力強化が評価された。合成繊維織編物の製布・染色加工・縫製と販売を行い、近年は自動車用エアバッグやアパレル直販企業向けなど品目、販売チャネルも拡大している。ここではナショナルスタッフ・従業員の総合力を生かし、汎用・低価格品主体の製造・販売事業を高付加価値・高価格品主体へ変貌させた。工場改革・競争力強化に全社挙げて取り組み、安全管理向上・人材育成・モチベーション向上・設備安定化活動などの諸活動を推進している。
 またオムロン上海は、昨今の中国における人件費高騰や労働人口の減少、消費の多様化傾向などの課題解決を進めながら、世界品質・超柔軟性・超生産性を兼ね備えた工場を目指している。コニカミノルタ東莞は「人の力×連携」を「現場力」と定義して、これを核に従業員の意識・行動改革を推進。人材育成においては、スキルマップによる技能の管理、技能資格制度、技能スペシャリスト教育などのきめ細かい人材育成システムを構築している。
 一方、GOOD FACTRY賞の「ものづくり人材育成貢献賞」はダイキン工業の国内4製作所の共同案件に決まった。注目されたのは海外展開も含めた技能伝承体制の整備、IoT(モノのインターネット)などを活用した熟練者ノウハウの伝承などだ。生産現場の継続的な人材確保においてもグローバル化や先端技術の活用を意識せざるを得なくなっている。

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