温暖で降水日数が少なく、自然災害の影響も受けにくい地域といわれていた岡山、広島の2県が、昨年7月の西日本豪雨で大きな被害に見舞われた。多くの命が奪われたほか、県民生活や経済活動など、さまざまな分野で多大な損害が発生した。現在、急ピッチで復旧・復興が進んでいるものの、いまだ本格的な回復には至っていない。両県とも以前から実施している産業振興策を推進する一方、被災前より、さらに良い状態を目指した新たな県づくりに総力を挙げて取り組んでいる。
 岡山県は、県政の最上位に位置付ける総合計画「新晴れの国おかやま生き活きプラン」を実行する。行動計画として「教育県岡山の復活」「地域を支える産業の振興」「安心で豊かさが実感できる地域の創造」の3つの重点戦略を掲げている。その下に、学力向上やグローバル人材育成、企業誘致・投資促進、企業の「稼ぐ力」強化、観光振興、攻めの農林水産業育成、働く人応援、保険・医療・福祉充実、子育て支援充実、防災対策強化、快適な生活環境保全といった17の「戦略プログラム」を配置する。また西日本豪雨で被害を受けた河川、道路、砂防施設などについては順次、復旧工事を進めているが、従来同等以上の機能を確保しながら安全性をさらに高めていく方針だ。
 広島県も復旧・復興に向けて「安心を共に支え合う暮らしの創生」「未来に挑戦する産業基盤の創生」「将来に向けた強靭なインフラの創生」「新たな防災対策を支える人の創生」の4つを柱とした新たな県づくりに向けた施策を展開する。単なる復旧にとどまらず、県をさらに発展させるため、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの利活用によるイノベーション力の強化、成長分野の育成、販路拡大支援などの県産業の持続的成長に向けた基盤強化や、基幹産業の競争力強化に取り組んでいる。また、これまで進めてきた、仕事と暮らし、どちらも諦めずに追求する「欲張りなライフスタイルの実現」への各施策も進行中だ。
 岡山、広島は、古くから関西と九州を結ぶ西日本の交通の要衝であり、臨海部を中心にモノづくり産業が集積し発展を遂げてきた。しかしながら他の県同様、両県でも東京圏への一極集中や少子高齢化、生産年齢人口減少などによる社会・経済活動への深刻な影響が懸念されている。地域の活性化・魅力向上を図ることは喫緊の課題。。両県には世界でも屈指の技術や製品を持つオンリーワン企業が多数立地しており、こうした企業を中心に新産業・新事業を創出していってもらいたい。

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