造船・重機の各社が世界市場での目まぐるしい変化に対応するため、組織体制の見直しを進めている。従来の縦割り組織に横串的な機能を付加するなど、より多様性を高め、厳しい競争環境で勝ち残ることが狙い。ビジネスが従来の国内中心からグローバル規模で拡大するなか、柔軟でスピード感のある経営体質を実現し、市場でのプレゼンスを高めてほしい。
 造船・重機各社は、これまで日本国内が主戦場だった。国内ユーザーの要求品質は極めて厳しく、一品仕様も多い。このため各事業部は独立性が強く、専門集団の性格が濃かった。しかし近年は国内市場が縮小傾向をみせ、新設プラント案件が減る一方、アジア地域など新興国の市場が急成長。造船・重機各社の売上高は海外比率が国内を上回るなど、経営環境が変化している。新興国は人材育成が追い付かず、機器供給に限らず、製造プロセスで納入するケースも増えている。
 また市場ニーズが多様化するなか、従来の縦割り組織では専門外の知見・ノウハウが蓄積されず、商機を逸するケースがある。例えば自動車産業では自動運転の開発などで異業種参入が相次ぎ、業界の枠にとらわれない提携が増える傾向にある。
 三菱重工業は、約700種類の製品で選択と集中を進めてきた。また大括りのドメイン制で経営資源の流動化を図り、日本拠点事業とグローバル事業拠点の2分化により、コングロマリット経営の改革・進化を進める考え。
 一方、IHIは資源・エネルギー・環境事業領域を取り巻く市場動向が変化するなかで、グループのプラント建設に関する組織を再編する。現在はIHI、IHIプラント建設(IPC)、IHIプラントエンジニアリング(IPEC)に分かれているが、4月1日付で「IHIプラント」として統合し、始動させる計画だ。
 日立造船は、事業クラスターを導入して各事業間のシナジーを発揮。連結経営を強化する方針だ。すでに秋田県や米カリフォルニア州でバイオガス発電を自社で開始するなど、事業領域の拡大を進めている。また昨年4月に社名変更した三井E&Sホールディングスは今期から純粋持ち株会社となり、各事業での損益管理を徹底している。
 今後の課題は社員の意識変革ではないか。日本企業は歴史的に現場に権限を付与し、担当者の責任感も強いといえる。ただ国内市場が縮小するなか、それぞれの事業部門を超えた発想が必要だ。柔軟でスピーディーな顧客対応を実施することで、成長への布石としてほしい。

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