一時期収束の兆しが見えていた新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、深刻の度合いが一段と増している。政府の緊急事態宣言再発令と併せて、より高度な対策が求められるなか、企業や個人が行うこまめな対応も引き続き重要となっている。この状況下、業界を問わず、コロナを含めた各種ウイルスの対策として除菌・抗菌に関連するビジネスが注目されている。化学品商社も例外ではなく、従来から扱っていた商材に加え、自社のノウハウやネットワークを生かして開発した薬剤や装置などをラインアップし、市場投入を進めている。感染拡大防止の要となる病院・介護施設向けの対策商材の提案に力を注ぐ企業も少なくない。
 CBCは、SISM(埼玉県戸田市)の製造する簡易陰圧システムを共同で製品化した。病院などではウイルスが外部に漏れないよう空調を陰圧にする必要があるが、それを容易に実現できる。主装置を床に置き、既設の排気口などにフレキシブルダクトをつないで家庭用コンセントに接続すれば稼働する。CBCは院内感染防止に取り組んでいる病院や介護施設への販売を想定。とくに介護施設向けの需要が高まっていることから、同システムを扱うニュービジネスデパートメント内の介護事業グループのルートを通じて提案を進めていく。
 また昭光通商は、昭和電工ガスプロダクツの小型炭酸次亜除菌水製造装置のカーボノンバクターを、これまでの飲料・食品向けに加え、需要が見込まれる医療・介護施設に提案していく考え。カーボノンバクターは次亜塩素酸ナトリウムを大量の水で希釈した水溶液に炭酸ガスを溶かし込み、pH6前後の微酸性にして除菌力を高めた除菌水を製造する装置。この除菌水は次亜塩素酸ナトリウムの5倍以上の除菌力を持つという。
 日曹商事は昨年12月から、高い除菌力を特徴とする自社ブランドの食品添加物製剤「フマルン」を発売した。人に対して安全で、除菌力が強力な有機酸であるフマル酸が主成分。食品添加物製剤であり、野菜や食品類の除菌に加え調理場などにも使用できる。塩素臭やアルコール臭がないため食品加工にも適しており、まず業務用除菌剤として販売する考え。装置メーカーと連携し、空間除菌など環境衛生分野への展開も計画する。
 新型コロナによる社会変化は著しく、たとえワクチンが供給され始めても従来通りの世の中に戻るとは考えにくい。除菌・抗菌関連の商材やビジネスは一層重要性を増すだろう。社会貢献の意味合いからも化学品商社各社の動向が注目される。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る