3Dプリンターの本格的な普及に向け、近年総合商社や専門商社が活動を本格化している。ハイエンド装置では金属を材料とする装置が伸びており、住友商事では、同技術を保有する米企業に出資した。その一方、紙を積層するフルカラー3Dプリンターの販売を開始するところも現れるなど、新たな試みが始まっている。化学品商社はフィラメントや周辺材料の開拓や供給に着手している。
 3Dプリンターの世界市場は2021年に48万台(メーカー出荷数量ベース)に拡大する見通しにある。矢野経済研究所の調査によると、17年に前年比18・4%増の27万台だったが、18年には同16・7%増の31万5000台に増加。15年から21年までの年平均成長率は16・7%で推移すると予測している。
 近年の動きとして指摘されるのが製造工場への組み込みだ。他の工作機械と比べて精度の点で課題があるとしながらも、装置と材料、ソフトウエアが三位一体で進化することで、その活用がより進展するとみている。
 このような状況を背景として最近、商社が3Dプリンターへの取り組みを強めている。総合商社では住友商事が18年9月、米州住友商事を通じて金属系材料を用いた3Dプリンティング技術を持つ米SINTAVIA社に出資した。住友商事グループでは、これまで蓄積してきた国内外の航空宇宙、オイル&ガス業界の顧客を中心に展開していく方針だ。
 伊藤忠マシンテクノスは、アイルランドのエムコア製フルカラープリンターの販売を今年4月から開始する予定。紙の積層によるフルカラー造形を可能にしており、コストメリットに加え環境に優しいことを特徴としている。
 一方、化学品商社は、材料面からのアプローチを中心とするケースが多い。長瀬産業は欧米で3Dプリンター関連材料事業を強化する考えで、北米で販売しているモノマーや硬化剤など光造形方式向けの材料に加え、18年設立した米合弁会社「インフィニット・マテリアル・ソリューションズ」でFDM(熱溶解積層)方式向け水溶性サポート材を製造・販売する。
 エア・ブラウンは、3Dプリンター向けにナノダイヤ粒子を配合した欧社製ポリ乳酸(PLA)フィラメントを扱う。一般用途から産業用途まで対応した欧州品で、高い熱伝導性や強度などが強み。ナノダイヤ配合の3Dプリンター向けフィラメントは世界初とし、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)地域に向けた展開も検討。ナノテクノロジー関連商材で用途別の拡充を進めるという。

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