政府による働き方改革の推進や技術の進歩にともない、さまざまワークスタイルが増えてきた。ICT(情報通信技術)を使った時間や場所にとらわれない働き方であるテレワークも、その一つ。1970年代に大気汚染が深刻化した米国のロサンゼルスで始まった。自宅で働く「在宅型」、他事業所や複数企業、共同利用型オフィスで働く「サテライト型」、訪問先やカフェ、移動中に働く「モバイル型」などがある。
 国土交通省の2018年度のテレワーク人口実態調査によると、雇用型就業者に占めるテレワーカーの比率は16・6%、自営型では24%で、ともに上昇傾向。雇用型は15~29歳までの男性(25%)と30代男性(24・1%)が、自営型は15~29歳までの男性(38・9%)と30代女性(35・6%)の比率が高い。業種別では、情報通信業と外術研究、専門・技術サービス業が多く、雇用型は30%以上、自営型では40%を超える。従業員の多い企業ほどテレワーク制度を導入しており、従業員数1000人以上の企業では31%。IT系や研究職の若手中心にテレワークが定着しつつある。
 高機能なパソコンやスマートフォン一台あれば、いつでも、どこでも仕事ができるようになってきた。テレワークでなくとも、パソコンを使って自宅で用事を済ませた経験は、誰もがあるだろう。最近は企業が設置した最寄りのサテライトオフィスで作業を済ませ、直帰する人も増えた。いつもと違う職場環境で働くのは新鮮だし、普段とは違う人と一緒に仕事すれば異なる刺激も受けられる。
「直接的なコミュニケーションが重要」「同じ場所で働くから価値観を共有できる」との意見もあるが、一番重要なのは、いかに質の高いコミュニケーションを密に取るかだ。今は、それを実現するだけの技術、環境が整いつつある。
 「世界各地のオフィスや自宅でVR(仮想現実)ヘッドセットを被った人がバーチャル会議室に集まり、製品の3Dモデルを見ながら改善点を議論」「海外プラントの現場映像を見ながら、本社のエキスパートが遠隔でトラブルの対処法を指示」といったことも現実的になっている。さらに高速・大容量でリアルタイム性の高い通信が可能な5G(第5世代通信)が普及すれば、距離と時間を超えて、よりリアルなコミュニケーションが可能になる。
 最近は、旅行先で仕事をするワーケーションが注目されつつある。休み中も仕事に追われると考えるか、ICTをフル活用して仕事をこなし、旅行を満喫するかは”あなた次第”だ。

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