鉄鋼業界がリサイクルを含めたライフサイクルアセスメント(LCA)をベースに、鉄鋼製品の採用拡大を促す環境整備を進めている。産業環境管理協会が推進している環境ラベルプログラム「エコリーフ」への対応を目的に、日本鉄鋼連盟が全鉄鋼製品(ステンレスを除く)を対象とした環境負荷算定ルール(PCR)を策定、8月13日に同協会の認定を得た。エコリーフは、環境ラベルの国際規格ISO14025で規定されているタイプⅢ環境ラベルのEPD(定量的データの開示)。建築物に対する環境影響評価制度の一部において、EPD取得製品を使った建築物は加点が得られることから、建材での取得も急速に増加している。
 素材の環境負荷は、資源採掘から工場での製造までのライフサイクルの一部分を計算するのが一般的。しかし鉄鋼製品はほとんどが再生利用され、スクラップを有価取引する経済合理的リサイクルシステムの下、再生材の用途が限定されないクローズドループを形成している。
 鉄鋼業界の取り組みは、この優れたリサイクル性をベースに最終消費者を含むユーザーが製品を選択する基準として、ライフサイクル全体を定量的に評価する方法を提供しようというもの。製鋼プロセスで世界最高効率を実現している日本の高炉各社にとって、その普及・定着が追い風になると見込まれる。
 鉄連の主導で策定された鉄鋼製品のライフサイクル環境負荷計算方法の国際規格ISO20915が昨年11月に正式発行。同規格を基に、今年6月に国内でもJISQ20915(鉄鋼製品のライフサイクルインベントリ計算方法)が発行された。エコリーフ取得には、製品種別毎の算定と基本ルールである製品カテゴリールール(PCR)の策定が必要。認定されたPCRは、建設用と非建設用で、それぞれ鉄鋼製品と鉄鋼二次加工製品の4点を対象とし、JISQ20915に準拠する。
 自動車構造材の場合、鋼材は他の金属素材や樹脂などに比べて製造時の環境負荷が小さく、また強度当たりの比重も超高張力鋼板(ハイテン、強度1470メガパスカル)ではアルミ合金より軽い。鋼材の理論強度は1万400メガパスカルとされ、製造技術の高度化により、さらなる高強度(軽量化)も見込まれる。新車開発では、軽量化を求めてアルミや樹脂への素材代替が進んでいるが、その一方でEV化を含む低燃費化により走行時のCO2排出が減少し、素材製造時のCO2排出の影響が相対的に拡大している。環境負荷/LCAを切り口とした取り組みが素材選びに及ぼす影響に注目したい。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る