化学企業が最先端IT(情報技術)を活用する動きが加速している。これまでAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を駆使したプラント運転の効率化、保守・保安作業の高度化など製造現場が中心だったが、事務系業務においてもコンサルタントを起用し、ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)を導入しようとするなど、新時代の業務効率化に取り組み始めている。日本企業の課題とされる、ホワイトカラーを含めた生産性向上への挑戦が本格化してきた。
 AIやIoTが高度に発達した超スマート社会では、多様かつ膨大な情報をデータ化して解析、活用する。人の能力では限界のあった膨大なデータを活用することで、従来は実現できなかったさまざまな価値を生み出すことが期待されている。またAIを搭載した機械は、これまで人が行っていた一定の作業をより正確に、しかも疲れ知らずに24時間実行できる。
 企業活動においては、AIが弾き出した需要などの精緻な予測をベースにした開発、生産、流通の各段階の飛躍的な効率改善が期待される。加えてデータ解析を利用した新製品、新サービスの提供、さらにはロボットなどを活用した事務系業務の効率化が可能となる。
 化学企業は、設備の最適制御など生産面においてはIT活用で長い経験を持っており、すでに一定の実績がある。そのうえで新たな技術革新を取り込みながら、その精度をさらに高めていくことになる。一方で、これまで人の経験、感覚に頼る部分の大きかった設備の保守・保安業務については、各種センサーなどによって蓄積したデータを基に、AIが解析したパターン認識に対する信頼性が高まっており、これを不具合の予知などで活用する流れが加速すると予想されている。
 さらに、ここにきて関心が高まっているのが事務系業務の機械化だ。生産性向上を検討する各社の組織などにおいて、ターゲットの一つとなっている。まずRPAなどを導入し、データ入力といった単純だが負荷の重い作業を機械に任せ、人は、より高度な業務に専念して成果を上げる―という体系に移ろうとしている。
 日本企業は生産現場において高い国際競争力を持つ一方で、ホワイトカラーの生産性は欧米に比べ劣るとされている。背景の一つに、ホワイトカラーが行うべき本質的な活動や業務が曖昧なことがある。業務の機械化は、本質的業務と、それ以外とを線引きする動きでもあり、日本企業に新たな生産性向上をもたらすと期待される。

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