11月の第3木曜日、今年はあす21日、赤ワインの新酒ボジョレー・ヌーボーが解禁となる。愛好家の盛り上がりをよそに、冷ややかな視線を投げかける諸兄もいるようだけれど、季節の風物詩としてあたたかく見守りたい。日本酒党である小職だが、飲んでみれば赤ワインもおいしい。飲まず嫌いの方は、この機会にぜひ試してみてはどうか▼さて、このボジョレーは「ブランド化」の成功例として知られる。キーワードはもちろん「解禁」である。肉でも魚でも飲み物でも、いちど人気を博した食材は、その人気の高さゆえに粗悪品の流通を招く。どこより早く売り出せば先行者利益を得られるためだ。こうして、材料としての質の良さにもかかわらず埋もれてしまった食材は少なくない▼そこで、「解禁日」である。解禁日をつくることによって品質を守り、また、「解禁日」をイベント化し、セールスに巧みにつなげる商才が登場し、この赤ワインはブランド化していったという▼日本の漁業などでもこのようなブランド化の取り組みは多い。漁の禁止と解禁は、もちろん水産資源の保護が第一義だが、なかなか手に入らないという希少価値を生むという効果もある▼悪貨は良貨を駆逐する。良貨を守るには、悪貨を排除しなければならない。解禁とはそのための仕掛けだろう。(19・11・20)

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