裏口入学疑惑の東京医科大学が、今度は入試で女子受験生の点数を一律に減点していたことが露見し話題を集めている。合格者の女性比率を3割前後に抑えるための調整だという。許し難い男女差別だと非難されるのは当然だろう▼ただ、背景には医療現場の厳しい現実もある。2008年のデータだが、日本の人口1000人当たりの医師数は2・2人。これはOECD35カ国の平均3・1人を大きく下回る。一方、医師1人当たりの受診回数は最多で過重労働傾向が続いているという(日医総研調べ)▼女性は出産や育児で休みを取るし、そのまま離職するケースもある。その結果、ただでさえ慢性化している現場の人手不足に拍車が掛かる。それならば最初から女性医師の比率を抑えよう。そんな理屈のようだが、昨今それは通用しない▼愚かな行為ながら、これを一医大の問題と片付けるのではなく、医療従事者の労働環境改善の契機とすべきだろう。日本の全医師に占める女性比率は約20%。OECDで最も低く、平均値45%の半分にも満たない▼それでも、35歳未満に限れば女性比率は30%を超える。ちなみに、理工系研究者の女性比率は15%台にとどまる。女性管理職比率も政府目標の20%にはまだ遠い。女性が働きやすい環境と体制を整えるために考えること、やるべきことは多い。(18・8・6)

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