人々は新しいスターの誕生にも、低迷期を経験したスターの復活にも歓喜する。タイガー・ウッズが14年振りにマスターズを制した。メジャー大会の優勝は2008年の全米オープン以来11年振りという。若さ溢れる才能と、権威を備えた経験者との戦い。ウッズの復活により、米ゴルフツアーには新たな面白さが加わった▼30年前のジャック・ニクラスの復活劇を思い出した。あのときもテレビで見ていたが、最終日のバックナインで30という土壇場での大逆転優勝であり、さらに「奇跡」感が強かった。しかし、当時46歳だったニクラスにとってそれがトーナメントでの最後の優勝となった▼今回の優勝でメジャー勝利数を16に伸ばしたタイガー・ウッズは43歳。これまで腰痛などに悩まされたびたび手術しており、肉体には年相応のヤレがあるに違いない。しかし、画面を通じたプレー振りからは体力的な衰えは感じられない。その不安さえなければ、歴代1位でメジャー18勝のニクラスの記録に挑むことになる▼生物の体は細胞でできており、古い細胞は次々に新しい細胞に生まれ変わっている。セントラルドグマやエピゲノムなどの詳しいメカニズムはともかく、ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず、である。まだやれるはず、そう思って頑張ろう。鏡はなるべく見ないで。(19・4・16)

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