日本の津々浦々に張り巡らされたアスファルト道路。アスファルトは、原油から生み出される重質油として大量かつ安価に調達可能。しかもコンクリート舗装やブロック舗装などに比べて施工が早く済み、補修も簡便なことから、インフラ整備に不可欠の材料となっている。しかし柔らかさが故に定期的な修繕工事が必要となり、その費用として毎年、数千億円規模の予算が計上されている。アスファルト舗装の修繕頻度を減らすことは国土強靭化にもつながり、予算の節減や交通渋滞の抑制、工事業者の人手不足の緩和などに役立ち得る。
 そのために有用といえるのがアスファルト補強材だ。主としてガラス繊維織物の表面を特殊コーティングした基材をアスファルト舗装の内部に埋め込むことで、クラックやわだちの発生を抑制し、道路の長寿命化に貢献する。通常使用しない材料をアスファルト中に挟み込むことになるため、材料費、施工費ともに若干高くつくが、補修頻度を減らせることによってトータルコストを大きく抑制できる。工事渋滞が減ってトラック輸送などの円滑な物流につながり、経済を押し上げる効果も見込める。近年、急速に国内で実績を積み上げているサンゴバンの製品は、条件次第だが、補強材なしの場合に比べて補修期間を3倍に延長できるという。
 アスファルト補強材の活躍の場は、一般の道路だけにとどまらない。アスファルトが舗装されているシーンは橋梁や空港、駐車場など多岐にわたる。橋梁の老朽化も重大な課題で、10年後には全国約73万橋のうち、約44%が建設から50年経過する。50年経過以降、重大な損傷が見つかる頻度が急激に高まるといわれており、対策は必須。橋梁の老朽化ポイントは複数あり、内部への浸水による凍害や凍結防止剤による塩害による影響も大きい。このダメージを軽減するため、防水施工とアスファルト補強を一体化することで、防水の信頼性を、より高める工法も提案されている。
 空港では、駐機場は機体の重量的な問題からコンクリート舗装となっているが、滑走路は雨天時に滑りやすくなることを防ぐためにもアスファルト舗装が施される。しかし例えば羽田空港では今年、3月に続いて7月にも滑走路の舗装の亀裂や舗装の剥がれによる穴が見つかり、一部の便が欠航を余儀なくされた。欠航で済めばまだしも、航空機が穴にはまり込む恐れもある。コスト問題だけでなく、重大事故のリスクを軽減する「予防保全」策の一つとしても、アスファルト補強材を有効活用してほしい。

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