厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は21日、富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学が新型コロナウイルス感染症の治療薬として10月に申請していた抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の承認可否について継続審議とすることを決めた。「現時点で得られたデータから有効性を明確に判断することは困難」としている。観察研究ではアビガンの投与が継続されるが、承認の判断は2021年1月以降に持ち越されることになった。

 被験者も医師も治験薬の中身を知らない「二重盲検試験」に対し、部会では富士フイルム富山化学による治験が医師は治験薬の中身を知っているが被験者は治験薬の中身を知らない「単盲検試験」だったことの影響や、主要評価項目以外も含めた各評価項目における結果の臨床的意義などについて議論したという。

 今後、米国など海外で行っている治験の追加データが同社から提出されれば医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査し、改めて部会で審議する。「レムデシビル」や「デキサメタゾン」に続く国内3番目の新型コロナ治療薬になると期待されていたが、「あくまで審議の途中で有効性が否定された訳ではない」としている。

 継続審議になったことを受け、富士フイルムは同日、「3月に開始した国内治験で有効性を確認できたにも関わらず非常に残念。医学専門家の意見を踏まえて策定した治験のプロトコル(手順)はPMDAに提示して合意を得たもので、今後は早期承認取得に向けてPMDAと審査結果を踏まえた対応を協議していく」などのコメントを出した。

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