カネカの検査診断事業が、コロナ禍を機に成長期に突入する。昨秋上市した新型コロナウイルス感染症用PCR検査キットの販売が好調ななか、今年6月に体外診断用医薬品の承認取得で一層の拡販体制を築いた。年度内に海外での販売にも打って出る。抗原検査試薬も上市する計画で、増加が見込まれる陰性証明需要などを取り込む。今後は感染症のほか、グループの医療機器やバイオ医薬品開発・製造受託(CDMO)事業との連携で心臓、脳疾患領域などでの新製品創出を狙う。M&A(合併・買収)も活用して積極展開し、100億円を超える事業体を目指す。

 新型コロナウイルス感染症PCR検査キットは、独自の検体処理技術を用いてウイルスRNAを精製する前処理工程を熱処理だけで完了できるようにし、検査時間を従来法の2~3時間から1時間以内に短縮できる。研究用試薬として昨年10月に発売し、6月には体外診断用医薬品として製造販売承認を取得した。同社製品と検査時間が同等水準の競合品は「2、3社あるが、感度は最も優れる」(メディカルソリューションビークルズ事業部長・木村雅昭常務執行役員)という。

 今後見込まれる経済活動の制限緩和で陰性証明の活用が想定され、迅速さなどを武器に検査需要を獲得し拡販を図る。ただ、新規品の出現など競合品も多いため、精度、コスト、時間をキーワードに製品開発し差別化する。検査時間を数十分に縮められる新製品の開発も進めている。

 カネカの遺伝子検査診断関連事業は、核酸クロマト型チップなどを製品群に揃え、2018年に結核・抗酸菌遺伝子検出キットを販売し、今年は国立感染症研究所(感染研)と共同で、難治性の肺呼吸器感染症である肺アブセッサス症の簡便検査法を開発するなど幅を広げている。そのなかで、市場が大きいコロナPCR検査キットの上市、診断薬化が転換点となり同事業は花開きつつある。PCR検査キットに加え、抗原検査向けの開発にも着手しており1年以内を目標に上市する。

 今年度中には東南アジアなど海外市場に輸出販売で進出する予定。新型コロナPCR検査キットを生産する大阪工場(大阪府)は、自動化による増産を視野に入れる。

 研究開発は新型コロナを含む感染症をターゲットに推進中。バイオCDMO事業のベルギー子会社カネカユーロジェンテックが持つ酵素技術との融合などで新製品開発に取り組むなどグループ連携も深化している。

 検査・診断に必要な装置を自社で製品化することも計画する。また、中・長期的には、脳動脈瘤塞栓コイルや心臓などを治療するカテーテルなどを手がける医療機器事業が強みを持つ、心臓、脳疾患領域をターゲットに製品を投入していく。

 カネカはヘルスケア事業で、検査診断の拡大もテコに、治療にとどまらず予防から治療後のケアまでを網羅する事業展開に転換し成長を追究する方針。自前主義にこだわらず、M&Aなども積極的に手がけていく構えで「製品導入、技術獲得、企業買収を並行して検討している」(同)。(岩﨑淳一)

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