まだ給料が現金支給されていた頃の話。毎月の給料は給料袋に入れっ放しで、必要に応じ財布に補充している先輩がいた。ある時、給料日まで日があるのに残りは僅か。焦って確かめるとそれは前月の袋で、今月分は手つかずだったとか▼独身の気楽さもあるにせよ、大雑把でいい加減な金銭管理だと呆れたが、毎月一定額をきちんと貯金する堅実さもあった。銀行のキャッシュカードは使っていたが、クレジットカードは「流儀に合わない」と言って持とうとしなかった▼程度の差はあれ、日本の高齢層には現金志向が根強い。クレジットカードを持っていても現金払いする人が多く、キャッシュレス比率は約2割。諸外国に大きく後れを取っている。今月からのキャッシュレス還元制度を起爆剤にという政府の目論見だが、さてどうなるか▼仕組みが複雑でメリットの最大化にはほど遠いが、遅まきながら現金払いを止めてみた。PASMO付帯型のクレジットカードで支払いの大半を賄う。自動チャージの設定金額を引き上げておけば、面倒な手間はない▼1週間、2週間経っても財布の現金は一向に減らない。妙な余裕を感じてしまうがもちろんそれは錯覚。手元の現金は残っていても、その分だけ口座残高が減っていく。ズレそうになる金銭感覚の修正には、少し時間がかかりそうだ。(19・10・21)

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