創薬ベンチャーなどが加盟する業界団体、日本バイオテク協議会の山田英会長(アンジェス社長)は24日、オンライン会見し、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬の早期実用化に向けて、開発に取り組む新興企業への支援や制度改正を求めた。山田会長は「開発に着手している加盟企業11社のいずれもが資金など何らかの課題を抱えている」と助成金の充実などを訴えた。ワクチンの国家検定廃止などを要望した。

 バイオテク協議会の加盟企業では新型コロナ向けワクチンにアンジェスやノーベルファーマ、メドレックス、治療薬にはイーベックやボナック、ペプチドリームが参入。診断薬やワクチン評価技術にもエムバイオテックなどが取り組む。ただ、ベンチャーは資金力や開発体制などが十分でなく研究開発の加速には連携や協力が欠かせないとした。

 協議会による要望は、新たな助成金制度の導入や製造会社との連携を含めた開発支援などを中心に診療報酬、製薬企業のパートナー支援など9項目に上る。要望書はすでに政府に届け、今月成立した第2次補正予算に盛り込まれた案件もあり、山田会長は資金面について「かなり手厚い支援を組んでもらった」と話した。

 資金支援だけでなく制度改正も求めている。ワクチンは現状、メーカーによる出荷検査と国立感染症研究所による国家検定の「ダブルチェック」が必須。要望では、感染研の国家検定を医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるGMP査察に含めれば国家検定がなくても十分に対応できると指摘し、緊急を要するコロナワクチンについては国家検定廃止を要望した。

 ワクチンや治療薬の開発を進めるにあたって、山田会長は「製造メーカーとのオールジャパン体制が必要」とも指摘し、「製造は海外に頼るのではなく、国内に整備することが重要だ」と強調した。協議会では、企業連合によるコンソーシアムの設置を検討しており、「それぞれの専門性を持ち寄って迅速に対応することが求められる」と語った。

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