シェアリングエコノミー(共有型経済)サービス市場が2ケタ増のペースで成長を遂げている。矢野経済研究所の調べによると、2017年度の市場規模は前年比32・8%増の716億円。乗り物のシェアサービスなどが牽引役となり、22年度には1386億円にまで達すると予想している。
 シェアリングエコノミーとは個人が保有する遊休資産を有効活用する取り組み。カーシェアリングに代表される「乗り物」や民泊などの「スペース」、有名ブランドのバッグを貸し出すような「モノ」の分野などで、さまざまなサービスが誕生している。
 このサービスの発展を可能にしたのは、急速な進化を遂げるICT(情報通信技術)に他ならない。貸したい人と借りたい人を即座にマッチングさせるにはICTが欠かせない。自動車や不動産など価格の高いモノとの親和性が高いとされるが、IoT(モノのインターネット)が普及すれば、すべてのものがシェアリングサービスの対象になるだろう。
 調査会社のIHSマークイットが行った分析が興味深い。機器がシェアリングされて稼働率が上がった場合、耐用年数が短くなることが予想される。そのためデバイスに対する要求が緩やかになる可能性があり「部材に求められる要求も変化する」というのだ。
 このような事例は、電気自動車(EV)のシェアリングサービスにも当てはまるだろう。個人所有を前提としたEVでは、夜間に自宅で充電を行うことがメインとなる。しかしシェアリング用途のEVでは、急速充電を行う機会が増える。一方、EVに搭載するリチウムイオン2次電池(LiB)は、容量系と出力系に大別される。EV関連メーカーは航続距離を向上させるため高容量LiBの開発を進めているが、シェアリング用EVでは急速充電に適した出力系LiBが好まれる可能性が出てくる。そうなると当然、LiBを構成する各部材への要求も変わることになる。
 「若い人ほどクルマを買わなくなった」-。とある輸入車ディーラーの販売員が、こう嘆いた。「新たな顧客を獲得するうえで、ライバルは他のメーカーではなくカーシェアリングかもしれない」。その言葉通り、トヨタ自動車もソフトバンクと組み、シェアリング事業への参入を表明した。若者を中心に所有欲が減衰していることも相俟って、社会は確実に共有型へとシフトしている。差材・部材メーカーには、シェアリングに対応した柔軟な材料供給が求められることになりそうだ。

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