光文事件。ある全国紙が大正天皇崩御の折に、大正の次の元号を巡って起こした誤報事件だ。この汚名をそそごうと同紙は、昭和天皇の容態が悪化するなか、昭和の次の元号を巡ってスクープに挑む▼今月上旬にそのスクープ合戦の再現ドラマが放送された。取材の実働部隊の長となるキャップはソファに2カ月も寝泊まり、首相官邸前には記者が詰めるプレハブが建つ。抜こうとする記者、抜かせまいとする政府のやり取りは面白い▼政府部内に情報網を持つ記者から「平成」のスクープネタが上がってくる。キャップはゴー。その上のデスクもゴーだが、年前と同じ轍を踏むのを恐れる編集局長は確認を待ち、小渕官房長官(当時)の記者会見となる。ドラマは「権力は隠す。それを国民に伝えるのがマスメディアの使命」の言葉で終わる▼その平成もまもなく終わる。新元号は4月1日に閣議決定・公表される段取りだが、スクープ合戦は始まっているのだろうか。次の元号がどうなるか個人的には関心がない。しかも、国民に知らされる日まで決まっている。あれほどのエネルギーと時間を費やさねばならないことなのか▼米政府がひた隠しにしたベトナム戦争の真実を暴いた米映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」。国民に知らせるべきはこういうことではないか。(19・1・25)

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