セラミックスをセラミックス系繊維で強化した「セラミックス複合材料」(CMC)が、次世代のモビリティを支える材料として注目度を高めている。強化繊維を含まないモノリシックセラミックは、硬さはあっても脆く、衝撃を受けると割れてしまうという欠点がある。一方、金属には展延性があり、塑性変形することで破壊を免れることができるものの、セラミックスに比べれば耐熱温度は低い傾向がある。例えばアルミニウムは120度Cを超えると変形し、鉄も600~700度C程度までしか耐えられない。それらの欠点をカバーし得るのがCMCだ。CMCであればミクロ損傷を受けても許容できる。
 ただ一口にCMCといってもさまざま。非酸化物系と酸化物系に大別され、さらに繊維基材の種類、マトリックスの形成方法などを考慮すると、非常に多くの組み合わせがある。
 CMCの市場として大きな成長が見込まれているのが航空機エンジン用途だ。現在、同用途に用いられているニッケル合金に比べ、重量は約3分の1と大幅な軽量化が可能。そのうえ耐熱性や強度にも優れ、燃焼ガスの温度を高めることで、エンジンのエネルギー効率の向上にも寄与する。航空機にとって燃費向上の効果は絶大であり、自動車で使えないような高価な材料でも省エネや環境の観点から十分に適用可能となる。しかも今後も航空機は成長市場であり、ビジネスとしても魅力的だ。
 すでに欧米では民間旅客機向けを含めて採用が始まった。この用途に使われる炭化ケイ素繊維は日本発の高機能繊維。だが日本勢はCMCへの加工工程において海外の後塵を拝している状況だ。部材開発では三菱重工業、川崎重工業、IHIといった重工各社が長年取り組んでおり、基材となる織物の開発やマトリックスの含浸など各工程ごとに強みを有する企業がある。最終出口は欧米の有力エンジンメーカーだが、日本企業もCMCによるエンジン部材の産業を興すことが期待される。
 その早期実現には、CMCに関心を持つ国内メーカーが業界の枠を越えて連携するための土台が必要となる。それが2017年4月に東京工科大学を拠点に発足した「セラミックス複合材料センター」であり、昨年4月に活動開始した「CMCコンソーシアム」(事務局・日本ファインセラミックス協会)である。欧米企業にキャッチアップするためには、各社が技術を囲い込むのではなく、情報や評価技術などを共有することが肝心だ。個別の企業だけではクリアできない壁を、ぜひとも打ち破ってほしい。

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