トラック運送サービスを安定的・継続的に提供可能とするためのガイドラインが、このほど策定された。法令順守(コンプライアンス)の重要性や、その取り組み事例、さらに運行に必要なコスト構成などを示している。目新しい内容ではないものの、荷主と運送事業者の共通理解が促され、深刻化するドライバー不足への対応などの取り組みがサプライチェーン全体で進むことを期待したい。
 「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」は、国土交通省や厚生労働省、経済産業省、農林水産省が共同で取りまとめた。国交省が2016年7月に学識経験者、トラック運送事業者・荷主などの関係者と関係省庁で構成する「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」を立ち上げ、検討を重ねてきた。
 ガイドラインでは運送事業者が安定的・継続的な運送サービスを提供するためにコンプライアンスが重要としたうえで、その基礎となる改善基準告示の内容について解説。ドライバーの拘束時間にも触れ、荷物を運んで運転している時間だけでなく、点検・回送運転・荷待ち・荷役・休憩などの時間も含むこと示した。燃料価格の変動に応じてコストを回収できる「燃料サーチャージ制」の導入を促している。
 今後は各都道府県で開催している「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」や各種セミナーを通じ、荷主と事業者の双方に向け、ガイドラインの周知を図るという。
 トラック輸送産業は国内物流の基幹的役割を果たしており、ドア・ツー・ドアの利便性およびフレキシブルな対応に特徴がある。船舶や鉄道、航空輸送においても末端輸送の大半をトラックが担っており、わが国の経済活動の基盤となる重要な産業といえる。ただトラックドライバーは全産業平均より長時間労働、低賃金とされる。厚労省によると、トラックドライバーを含む自動車運転手の有効求人倍率は直近の調査結果で3倍超と、人手確保は一段と難しくなっている。
 またドライバーの年齢も年々上昇し、大型トラックの運転手(男性)の平均が47歳を超えるなど、中高年層の労働力依存が増している。トラック輸送産業の維持・発展には、ドライバーの労働条件を改善し、若年者を呼び込む対策が求められる。またトラック輸送サービスを安全かつ安定的に提供するためには荷主の協力と配慮が不可欠。トラック運送各社がコンプライアンス経営を徹底し、市場の変化に柔軟に対応できる業界となるよう努めてほしい。

新聞購読のご案内

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る