化学品商社が近年、高機能製品展開強化の一環としてカーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン(炭素原子シート)といったナノ炭素材料への取り組みを強化するケースが増えている。ナノ炭素材料は電気的、機械的特性に優れ、軽量で柔軟性に富むことから、リチウムイオン2次電池(LiB)やキャパシターなどの電子デバイスや環境・エネルギーなど、幅広い分野で応用が見込まれる。
 楠本化成は2017年5月にロシア・オクサイアル社との間で日本国内における総代理店契約を締結し、同社が製造している単層CNT「TUBALLシリーズ」の販売をスタートさせた。さらに18年1月には社内に「CNT事業推進室」を発足させるなどビジネス活動を本格化している。
 またKISCOは、グラフェンの開発・販売を行っているグラフェンプラットフォーム(GP)社と、今年3月にグラフェンインキに関する日本および韓国・台湾における総代理店権を含む業務提携契約を結んだ。
 和光薬品も米XG-サイエンシズ社製のグラフェン・ナノプレートレットと、その関連商品の販売を促進していく方針を明らかにしている。
 これら化学品商社の取り組みで特徴的なことは、ナノ炭素材料を各方面から調達するだけにとどまらず、自社あるいは協力工場などと連携して、これらの素材に手を加え、商材の付加価値を向上させている点だ。さらに自社が持つグローバルネットワークを活用して、その対象とする市場を、これまで以上に広げようとしている。
 例えば楠本化成は、今年10月をめどに草加工場のスペースを活用してCNT分散体の生産を開始する計画で、顧客が使いやすいかたちでの提供に努める。日本の市場に適合するような改良製品の提供も検討していくという。KISCOは今後、同社が国内外に保有する各拠点を活用して、顧客に対しGPのグラフェンインキを積極的に提案していく方針。和光薬品も加工委託先と連携することによって、マスターバッチなど顧客のニーズに応じた形態での供給にも力を入れていく方針を掲げている。
 商社では口銭ビジネスからの脱却を図るうえで、高い機能を持つ商材の扱いを増やすことが避けて通れないテーマとなっており、ナノ炭素材料に限らず、これまで蓄積してきたノウハウを活用して加工度の向上などを図ろうとしている。顧客が利用しやすいよう付加価値を高めるビジネスは今後増加することが確実。ここに挙げた企業以外の動向も注目しておきたい。

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