ファインケミカル系企業による「攻めの投資」の姿勢が鮮明となってきた。国内景気は穏やかに回復しているものの、海外経済の不確実性や原燃料価格の変動など、いぜん先行き不透明な状況に変わりはない。経営判断が難しいなかでも思い切った設備投資を決断、成長加速へアクセルを踏み込んでいる。
 日本触媒は独自の機能性モノマー「VEEA」および機能性ポリマー「エポクロス」「エポミン」の旺盛な需要に応えるため、各プラント能力を現状の2~3倍に増やす。VEEAは、世界で同社のみが生産する、低粘度で紫外線(UV)硬化性の高いアクリル系モノマーで、デジタル・オンデマンド化が進むUVインクジェット印刷向けの反応性希釈剤として欧米を中心に需要が拡大している。エポクロスは、環境負荷の少ない水系架橋剤として、PETフィルムやコーティング材向けにエポミンは重金属処理などの水処理剤やインク顔料の分散剤用途で需要が増加している。今年8月から2019年末にかけて姫路製造所(兵庫県姫路市)および川崎製造所(神奈川県川崎市)で順次完工する予定。これら機能性化学品で総売上高100億円を目指す。
 荒川化学工業は、コスモエネルギーホールディングスおよび丸善石油化学と、水素化石油樹脂の製造・販売を行う新会社設立に関して3社合弁の契約書を締結した。紙おむつなどの組み立てに用いられるホットメルト接着剤の原料である水素化石油樹脂の需要が増加しており、20年末をめどにコスモ石油・千葉製油所(千葉県市原市)内に生産設備を設置する予定。隣接する丸善石化から原料、ユーティリティーの供給を受けて原料油からの水素化石油樹脂の一貫生産を行う。
 第一工業製薬は、19年6月をめどに四日市事業所霞工場(三重県四日市市)に機能性ウレタン製品の製造設備を設ける。ウレタン事業では塗料、接着剤、電気絶縁材料、防水材、とくに高い機能が求められる自動車、電機・電子部品分野などへ工業用薬剤やウレタン用の原料を提供している。15年12月に新設・稼働した霞工場は生産・研究・営業の複合基地拠点となる同社成長の礎、マザー工場と位置付けている。今回で3回目となる設備新設では、製造プロセス高効率化や製品の品質向上を目指したスマート化を実現する。
 各社とも底堅い業績を背景に中長期的な視点から設備投資を活発化させている。事業拡大への下地が整ってきた今だからこそ、大胆な戦略的投資を立案・実行していくことが将来の持続的成長につながるはずだ。

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