毎年6月5日は国連の「世界環境デー」。今年は「プラスチック汚染をなくそう」をテーマに掲げた。これに合わせて国連環境計画(UNEP)は「プラスチックのごみとしての廃棄量が年々増加し、2015年時点で3億㌧に達した」とする報告書を発表。うちペットボトルやレジ袋などの使い捨てプラスチック製品が47%と半分に近くを占め、深海でも発見されるなど汚染の深刻化を指摘した。
 UNEPは、この10年間で生産されたプラスチックの量が20世紀全体の生産量を上回っていることや、プラスチックごみが全廃棄物の10%に相当することなどを示し、プラスチック廃棄物の問題が人類の喫緊の課題であることを強く印象付けた。
 プラスチックは、生活のあらゆる場面で使用されており、近代的な人間生活にとって欠くことのできない素材だ。食品の安全な流通や高度な医療にも貢献しており、軽量化や断熱効果などによって省エネにも大きく貢献している。またプラスチック産業は、原料を生産する化学業界から、成形品を生産する加工業などまで含め極めて巨大だ。直ちにプラスチックの使用を中止するといった措置は、もちろん現実的ではない。
 一方でプラスチックは使い捨てされる割合が高く、廃棄物は焼却処理しない限り自然界では分解されにくい。このため、ここ数年で危機意識が高まってきた海洋ごみをはじめ、増大が止まらない「ごみ」としてのプラスチックの取り扱いは大きな課題。世界が一体となって解決策を見出さなければならないことも確かだ。
 こうしたなかで一段と意識が高まっているのは、プラスチックをいかに再利用するかという問題だ。プラスチックのリサイクルは、費用対効果の観点などから焼却してエネルギーとして再利用するサーマルリサイクルが最も現実的な解決策であるとの意見も根強い。一方でプラスチック産業にとっての重要顧客である自動車、電機、食品、衛生用品などの世界的な大手企業は、使用するプラスチックについて、これまで以上にマテリアルリサイクルを志向すると予想されている。
 マテリアルリサイクルを考える時、技術的な視点から言うと単一素材(モノマテリアル)であることは重要なポイント。需要家の設計思想が「複数素材を組み合わせて機能を発揮してきた部材を、単一素材で実現してリサイクルを容易にしよう」という方向に、より強く動くことは確実だ。プラスチック産業には、それを想定して廃棄物を減らすための画期的な提案を示してもらいたい。

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