近所の文具店でなつかしいものに出会った。ペン先がプラスチック製の万年筆だ。このペンで弊社の記者が5行で1枚の縦長の原稿用紙に記事を書いていたのはいつごろ迄だったか。もちろん、このペンを記事執筆道具の主役の座から引きずり下ろしたのはワープロ専用機である。いまは記者ワープロへと進化した▼当欄をそのペンで書いてみた。インクもいいのだろう、とてもなめらかで、紙にじみもない。右手だけで用が足りるのも有り難く、なにより軽い。思考のスピードに負けずに手先を動かせるような気がする。しかし実際は、そんな気がするだけで、つぎつぎとマス目が文字で埋まっていくということはない▼手書きだと、頭にある程度先まで文章ができた時点でないと、紙にペンを走らせられないからだ。まず書きなぐってから、あとで順番を入れ替えたり、言葉を言い換えたりなどしていては、原稿用紙がきたなくなる。句点と句点の間の一文くらいを頭の中で完成させてそれを覚えておき、紙にインクで定着していく。この作業がこんなにも頭のトレーニングになるのかと驚く。構成力、論理力、そして記憶力もろもろが必要だ▼頭の老化防止にと、数独やクロスワードパズルをやったりしている人は多い。手書きで文章をしたためる。この連休にぜひお奨めしたい。(18・5・2)

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