昔のTV番組をユーチューブなどで視聴すると、通信環境の違いに意識が向くことが多い。ちょっと前のドラマでは頻繁に携帯電話が登場する。そう言えばスマートフォンが普及する以前、使用していた携帯電話は折りたたみ式だった。右手の親指でカチャッと開けるあの感覚や、ごちゃごちゃとストラップを付けていたことが妙に懐かしい▼80年代後半から90年代前半にかけて活躍したお笑いトリオ。コントで先輩コギャルがポケベルの使い方を田舎者の後輩に指南する。後輩コギャルはポケベルを見たのも初めてなのに、実は携帯電話を持っていると言う。スゴーい、と驚く先輩がよく調べると、固定電話の子機だったというくだりが笑わせる▼老人が膝の手術のため入院した。コロナの影響で直接面会できないので、レンタルの携帯電話を契約して渡した。しかし、何度電話しても出ない。手の届かない場所に置いているのだろうかと思っていたら、ようやく向こうから電話があった。「大丈夫、元気だよ。じゃあね」、そう言うと直ぐに切ってしまう。まるでポケベルのようだ▼家に誰も居ないので、自宅の電話には留守電の着信が溜まっている。セールス、勧誘の類いだろうか、ほとんどの通話が何も話さずに切れている。老人は、迷惑だったろうか。複雑な思いが頭を駆け巡った。(22・6・14)

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