内航海運業界が新たな産業政策「内航未来創造プラン」の具体化に取り組んでいる。人口減少、少子高齢化、国際競争の激化などにより、国内における産業基礎物資の荷動きが中長期的に伸び悩むことが確実視されるなか、主力のトラック輸送からのモーダルシフトの一層の推進で、海上輸送の新たな需要を掘り起こすことを重要課題の一つに挙げている。モーダルシフト推進を通じ、安定的輸送の確保と生産性向上を柱とした基盤強化を果たしてほしい。
 内航海運は、代表的な船型である499総トンの船舶1隻で10トントラック約160台分に相当する輸送が可能など、経済面・環境面で優れた特性を有する。昨今、トラック運転手の不足傾向やトラック輸送における労働時間規制などを背景に、雑貨貨物の輸送トンキロは2ケタの伸びを示している。
 政府の交通政策基本計画(2015年2月閣議決定)では、20年度までに海運へのモーダルシフト貨物を12年度比10%増の367億トンキロとする目標を掲げている。ただモーダルシフト促進の加速が求められているなかで現状、荷主企業における海上輸送に対する認知・理解が十分とは言い難い。運航情報など必要な情報も利用しにくいといった問題もある。
 国土交通省が昨年6月発表した内航未来創造プランでは、海運へのモーダルシフトの一層の推進によって海上輸送の新たな需要を掘り起こすことは、安定的輸送や物流生産性向上の観点からも重要とした。そのために荷主企業などの一層の理解・協力を促進し、併せて海運を利用しやすい環境を整備することが必要と指摘している。
 その具体化のために国交省は同11月、RORO船・コンテナ船・フェリー事業者ほか、利用運送事業者、トラック事業者、荷主企業、行政機関などで構成する「海運モーダルシフト推進協議会」を立ち上げた。関係者間で連携強化を図るとともに、モーダルシフト推進の具体的取り組みについて検討を始めている。このほど開催された第2回会合では、モーダルシフト船の運航情報等一括情報検索システム案や「海運モーダルシフト大賞」(仮称)制度の創設などに関する議論を深めた。
 内航海運は中小企業が多く事業基盤が脆弱なうえ、船舶・船員の高齢化という構造的な問題を抱えている。海洋国家であるわが国の社会・経済を支え続けていくには、いままで以上に効率的な輸送を目指し、厳しい輸送環境のなかでも安定したサービスを持続的に担い得る「たくましい」産業へと進化していかねばならない。

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