宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ」が観測を行った小惑星「イトカワ」。その名前の由来は日本の宇宙開発の父と言われた糸川英夫博士。第二次世界大戦の敗戦を経てゼロからの再スタートだった。東京大学生産技術研究所(生研)を拠点として観測用ロケットの開発に着手した▼東京都国分寺でペンシルロケットの水平飛翔公開実験を行ったのは1955年(昭和30年)。全長はわずか23センチメートルだった。小さいながらもロケットの速度や加速度、尾翼の形状など本格的な飛翔実験に向けて貴重なデータが得られた▼糸川博士らの研究グループは国内ロケット開発の牽引役で、その後も全長1メートルを超すベビーロケット、2段式のカッパロケットを開発。発射実験は秋田県や鹿児島県で行われた▼そんな黎明期のロケット開発にゆかりのある6つの自治体と生研が「科学自然都市協創連合」を発足させた。生研設立70周年記念事業の一環で、宇宙開発発祥の地として互いに敬意を払いながら地域振興につながる取り組みを推進していくのが狙い▼「ロケットはきっかけ。つながりを生かしながら、生研が得意とする自動運転などの技術を活用していきたい」と岸利治所長は語る。歴史を大切にする価値観を共有しながら、将来を見据えるというユニークな活動に期待したいところだ。(19・8・23)

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