アジアを中心に、世界的にインフラ整備の旺盛な需要が続いている。日本政府もインフラ輸出に力を入れているが、交通・基盤整備分野の受注額は情報通信・エネルギー分野に比べ、いまだ小さいのが実情だ。
 そのなか国土交通省は今年3月にまとめた「インフラシステム海外展開行動計画2018」で、チームジャパンの確立、競争力の強化、増加する官民連携(PPP)案件への対応、相手国への貢献を通じた受注機会の拡大、受注後の継続的な支援-の5つの戦略を掲げた。わが国成長戦略の重要な柱として需要を取り込むとともに、相手国の課題解決や成長への貢献、海外に展開する日本企業のサプライチェーン強化が狙いだ。日本の強みである質の高いインフラシステムは、競合国と十分に差別化が図れる可能性がある。
 また5月に「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」(インフラ輸出促進法)が成立した。独立行政法人などの支援により、海外展開を強力に推し進めるのが目的。6月1日に公布、3カ月内に施行される。8分野(高速鉄道、水資源、都市開発、住宅、下水道、空港、道路、港湾)の15の独立行政法人・公的機関について海外業務を追加した。中立性・交渉力に加えて、国内業務を通じて蓄積した知見をフルに活用してほしい。
 基盤整備分野のなかで輸出拡大の期待がかかるのが水ビジネス。世界市場は2020年に100兆円を超すとみられ、とくに下水道は13年から20年まで約3割の成長が見込まれる。
 新法成立を受け、下水道の整備・維持管理ノウハウを持つ日本下水道事業団(JS)の取り組みも本格化し始めた。海外の下水道整備に関するマスタープラン作成支援や事業化調査(FS)、設計監理、入札支援、施工監理、下水処理場の運転管理支援などを通じ、日本企業の参入を促進していく考えだ。
 海外には下水道インフラが未整備の国もあって経験や技術者が不足しており、幅広い支援が必要。JSは、ベトナムで下水道関連組織や制度の構築を支援するほか、下水道技術の普及に向けた海外向け技術確認も行っている。同国のホイアン市で建設中の下水処理施設には、技術認証第1号となったメタウォーターの前ろ過散水ろ床法(PTF法)が採用された。
 JSの辻原俊博理事長は「日本の優れた技術を海外に普及させ、逆に普及した技術を日本で生かして企業や地域(自治体)に利益がもたらされるようにしたい」と話す。今後のJSの取り組みと、日本企業の海外ビジネス拡大を期待したい。

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