「国民総背番号制」―。パスポート、免許証、保険証など複数にまたがっていた個人を特定する証明を統一しようとマイナンバーの導入が進んでいる。お隣の中国でも来月1日から「社会信用ポイント」の本格的な運用が始まる。中国では、身分証番号のほか、電子マネーシステム「支付宝」(アリペイ)利用時に携帯電話の番号登録が必要となっているが、これら情報を基にした制度である
 日本の一部メディアも伝えているが、中国は2014年から社会信用システムの構築を進めており、年中の完成を目指しているという。政府が国民一人ひとりの金銭支払い状況や信用度合い、犯罪履歴、外国渡航時の問題行動などをAI(人工知能)、ビッグデータなどを活用してデータベース化し、政府の基準でポイントを付け、個人個人を格付けする。
 来月からの施行では、まず電車や公共施設などでの騒乱や暴力、喫煙のほか、違法行為で登録され、ポイントが低い人は、国内飛行機や新幹線などの移動に制限が課される。とくに点数の低と、搭乗やチケットの取得なども拒否されるという。
 確かに、交通エチケットとして中国では耳を疑う行為が多いのも事実。航空機の飛行安全を願い離陸前、硬貨をジェットエンジンに投げ込んで大騒ぎを起こした老婆。発車時刻に遅れた夫を待つため、新幹線の扉を手で押さえて出発を妨害し、列車ダイヤを大幅に混乱させた妻。訪日中国人でも、北海道の空港で遅延に対して大暴れした旅行団体などが記憶に新しい。
 制度やルール、法規を守らずに起きる事件は日本でも多く、社会道徳の欠如が叫ばれて久しい。中国の億人を超える人口や、都市部と農村部の情報や教育格差などを考慮するならば、5月から運用が始まる社会信用ポイント制度も一概に批判ばかりだけではないのでは―とも感じる。羨望の念を抱く為政者もいるのではないか。
 同様に、ほとんどの中国人が支払いに使用する支付宝では、アリババグループが作り上げた信用評価システム「芝麻(ジーマ)信用」で利用者本人が自分の信用点数を見られる。これは最大950点までの信用点数で表され、点数が高い人はサービスの保証金免除や金融商品の金利優遇が受けられる一方、低い人はサービスに利用制限が掛かる。また中国の公安当局が、犯罪者や社会的問題者を特定する顔認証スマートグラスの運用を始めたと2月の社説で紹介したが、社会信用ポイント制度も同国の社会秩序を維持する手法として機能するのか。今後の動静を見守りたい。

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