中国の環境規制によって商機が訪れている。同国政府は今年1月に新税法として「環境保護税」を全国で施行した。これまでも排水、大気、廃棄物、騒音の4分野で、生産活動を行うほとんどの産業や工場系事業者に対し、排出物処理などのため廃棄物に関する申告と費用徴収を義務付けていたが、これを税法に格上げした。排水や大気汚染物質、固体や液体廃棄物の総量を申告させ、環境保護税を納付する仕組みを開始した。
 中国の生態環境部(旧環境保護部)と税務当局が主体となって実施している環境保護税。省や市政府によって若干運用は異なるが、例えば工場排水ならば基準値をクリアし、かつ処理量が少なければ税率も下がる。生産系・工場系事業所からの大気への排出も同様だ。固体廃棄物も減容や減量、残渣の燃焼処理などによって実際の申告量を減らすことができれば税負担は軽く済む。このため「環境関連設備の導入が必須」と考える企業が増加している。
 排水設備関連では、日系各社が水処理膜製品や水プロセスのソリューションなどの事業を展開しており現在、中国で好調に推移している。大気汚染をモニタリングする装置やVOC(揮発性有機化合物)センサー、これらの制御機器を扱う日系企業も軒並み好況に沸いている。また環境対応型のボイラーやコージェネレーションも、工場から出る廃棄物残渣低減を狙ったエネルギー効率・燃焼効率向上の動きを受けて、受注が増加している。重工系企業や造船系企業が手掛ける環境装置・設備も快走を見せている。
 昨年半ばには、中国の環境法規強化によって「中国における生産コストが上昇し、コスト競争力が消失する」「環境規制で中国企業が操業をやめると、サプライチェーンに影響が出る」といった懸念から、日本国内で議論が頻発していた。
 ただ日本と比較すれば数十倍の広大な土地、13倍前後の人口基盤を持つ中国。一部の企業が操業停止や当局による強制的な工場閉鎖を受けたものの、全体のなかのわずかにとどまり、日本から見た感覚とは異なる。中国でも「環境やコンプライアンスを順守する企業」は多く存在しており、このような企業は相次ぎ環境装置や環境設備の導入強化を図っている。極論を言えば「税率低減で利益確保につながるから環境装置を積極導入」するケースもあろう。
 時に「環境保護違反によって責任者が拘束され、膨大な違反金が課せられる」という企業ニュースが目立つ中国だが、負の面ばかりではなく、多角的に見ることが必要ではないか。

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