「2018年、中国の自動車新車販売台数は2・8%減と28年ぶりに前年割れを記録し、年3000万台の大台に届かなかった」「液晶テレビや家電産業なども、今夏過ぎの流通在庫解消が見込まれるが、通年での全体復調は厳しい」-。米国との貿易摩擦にともなう諸影響、内需市場の陰りなどと併せ、こういった中国の景気減速を伝える報道が相次ぐ。とくに日本の一部メディアでは、またぞろ「中国経済崩壊」「中国成長神話の幻想」というネガティブ系の見出しが躍っている。
 確かに日系の金融・シンクタンクでも、19年に入り「中国の経済減速」を取り上げたリポートが増えている。全体景気が変調局面にあるのは間違いないだろう。ただし「成長鈍化=中国事業は見直すべき」という旧態依然とした思考回路では、失敗するのは必然だ。
 昨年の中国自動車市場の詳細を見てみる。民族系や韓国・欧米系は販売減少などで厳しかったが、トヨタや日産など日系は販売量・シェアを伸ばした。とくにトヨタは前年比14%増の147万台で6年連続の高成長。中国内のティア1系ミーティングで、トヨタが「20年に中国で400万台」という目標を示したとの地元報道もあり、トヨタ車に関わる化学品・材料企業の繁忙さに変化はない。
 キヤノンやソニーが世界的に強いデジタル一眼レフカメラ。中国でも日系のデジタル一眼レフは爆発的な売れ行きが続く。関連部材を中国で生産・販売する日系化学企業総経理は「今年もさらに伸びる。交換レンズなどのアクセサリー類も含め、最大で1人当たり数百万円を超える単価になる。中国は日本国内の十数倍以上の成長市場」と指し示す。
 化粧品や医薬品、医薬関連機器も、製品によっては年300%から400%の超高成長を見せる。中国内の一部統計によれば基礎化粧品を使う女性は(年代にもよるが)日本が10人のうち9名前後に対し、中国は1人から0・5人。メーキャップ製品なども入れれば、人口規模もあって日本の数十倍の市場が隣国に見込める。
 中国において電子化学品に継続的に投資する関西系の中堅化学企業トップは「中国は10年単位、20年単位の視点が必要。ブレない・変えない姿勢が信頼を得られる。コツコツやり続ける日系企業の経営マインドに、この国は合致するのではないか」と問いかける。本欄では過去にも「日本国内的な思考で中国をとらえると確実に誤る」と記した。目先の変動の、さらに先を見通す視点を、改めて企業経営者に期待したい。

新聞購読のご案内

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る