【上海=石田亮】国家統計局はこのほど、2022年第1四半期(1Q、1~3月)の工業利益額(売上高2000万元以上の企業が対象)を発表した。前年同期比6・5%増となった。3月単月では自動車、エチレン、原油加工量などの分野が新型コロナウイルス感染症拡大による減産措置などの影響を受け、落ち込んだ。合わせるように国内総生産(GDP)の伸び率も鈍化し、前年同期の18・3%から約14ポイント減少し4・8%となった。

 1Qにおける産業付加価値額をみると軒並みプラス成長となったが、3月単月では鈍化傾向の分野が目立ち、コロナ感染拡大の影響を反映したかたちとなった。化学原料および化学品製造業の付加価値額は1Qで同4・7%増、3月単月は前年同月比3・0%増とプラス成長で着地した。一方で自動車産業は1Qが同4・0%増だったが、3月は同1・0%減とマイナスに転落した。

 1Qにおける主要製品の生産量は、エチレンが同0・9%増の724万トンと前年並みを維持。3月単月では4・9%減の237万トンとなり、20年6月以来のマイナス基調となった。カ性ソーダは同0・2%減の955万トン、単月では0・9%減の325万トン、化学繊維はマスク、防護服特需を受けて同4・5%増の1661万トン、原油処理量は同1・5%減の1億7144万トン。

 1Qの工場稼働率は75・8%で、コロナ禍で打撃を受けた20年1Q(67・3%)、2Q(74・4%)以来の低水準となった。例えば上海市ではロックダウン(都市封鎖)により原料調達・供給、人員の確保が困難となり、停産・減産を余儀なくされている生産拠点も多い。分野別でみると、これまで成長ドライバーの一つだった医薬品製造業が同2・3%減の74・6%、自動車は同6・4%減の72・1%、通信分野は同2・3%減の77・0%で軒並み苦戦した。

 1QのGDPは物価の変動を除いた実質で同4・8%増となった。移動制限などのあおりを受け、社会消費品小売総額が低調な推移をみせるなか、景気を下支えしたのが投資規模の拡大だ。1Qは同9・3%増加した。製造業は同15・6%増、ハイテク産業は同27・0%増と好調な推移をみせ、国内経済を支えた。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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