中国企業が開発した新型コロナウイルスワクチンが、新興国を中心に承認され始めている。ただし、有効率95%前後と高い予防効果を記録した欧米企業のmRNAワクチンに対し、不活化ワクチンを基盤とする中国製ワクチンは相対的に低い有効率が報告されており、安全性評価も含めたさらなるデータ開示が求められる。

 中国のシノバック・バイオテック(科興控股生物技術)が開発したコロナワクチンは、各国の治験データに大きな差が出ている。同社は新興国を中心に第3相臨床試験(P3)を実施。最も規模が大きいブラジルでは12日、予防効果を示す有効率が全体平均50・4%だったと報告された。評価対象1万3000例のうち、ワクチン群では85例、プラセボ群では167例が感染(発症)した。先週時点では、軽症例に限定すると有効率78%、中等症~重症では100%と報告されていたが、最終結果では大幅に低い数値となった。ワクチンは同国で承認審査中。

 一方、トルコの試験では、1320例分の中間解析で有効率が91・2%と高い数値を記録。インドネシアの試験(1620例)では有効率65%だった。

 中国では、昨夏からシノバックやシノファームグループが開発したワクチンの緊急使用が認められ、すでに数百万人に接種されたという。シノファーム品のP3は、中国では79・3%、アラブ首長国連邦(UAE)では86%との中間結果が出ている。両ワクチンとも、無毒化したウイルスの一部を投与する不活化ワクチン。

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