中外製薬の奥田修社長は、17日に都内で開いた記者懇談会で新型コロナウイルス感染症関連では「治療薬開発に集中する」との考えを強調した。足元、日本では1品目で承認に、もう1品目で申請にこぎ着けている。このうち、海外で需給がひっ迫している自社創製の抗体医薬品「アクテムラ」に関しては、「生産も増強中。(コロナ前の)2倍にした」として、体制を整えていることを説明した。

 昨年来、中外は同感染症薬としてアクテムラのほか、抗体カクテル療法「ロナプリーブ」、経口剤「AT-527」の3品目で実用化に取り組んでいる。ロナプリーブについては7月に軽症~中等症を対象とした治療薬として特例承認を、さらに11月には予防でも承認を取得した。アクテムラの場合、米国では緊急使用許可(EUA)を取得し、今月、承認申請を行った。

 一方、AT-527は治験で一部の有効性を示せなかったことなどから撤退を決定。これらとは別に、シンガポール科学技術研究庁(ASTAR)に自社の抗体改変技術を提供していた同感染症向け抗体医薬品も、「一旦、中止」している。

 当面はロナプリーブとアクテムラを軸に位置づけていく。ただ、変異株が生じていることなどを踏まえ、「ロシュなどからの導入の可能性は否定しない。機会は多々ある」と引き続き検討していく姿勢を示した。

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