痛ましい事件だった。6月に起きた新幹線車内での殺傷事件だ。犠牲者が大手外資型系化学企業のグローバル人材だったと知り、残念の思いはなおさらに募る。同社の広報を長く務めた方からも「やり切れなさ、悔しさ、加害者への怒りが収まらない」との手紙をいただいた▼同感の思いを引きずって今週月曜日、大阪出張のため乗った新幹線車内で警備員が巡回しているのに出会った。ネット上で効果性や人数などに意見がアップされているが、巡回頻度を上げれば一定の抑止効果は上がるものと期待したいが、さらなる対策も必要なのではないか▼多くの人が利用する新幹線で空港並みの手荷物検査は難しいという側面は理解できる。新幹線の利便性を失わずに安全性を担保するのは確かに易しくはない。ゆえにチャレンジすべきテーマではないか。4千万人の観光客が訪れると期待される東京オリンピックを見据えた開催国の責任だけではなく、乗り物とテロというテーマで悩む欧州などへも広がる可能性がある▼今こそ、分野、技術を超えてサイエンスの力を結集する時ではないか。光を使ったセンシングに代表される様々な非破壊検査技術や画像処理技術にAIを組み合わせて、遠隔で危険を察知する方法も開発可能と考える。再発防止は被害者へのせめてもの手向けだ。(18・7・6)

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