東京駅の真ん前、新丸の内ビルディングの10階にその大学のオフィスはある。ラウンジの窓からは東京駅舎のクラシックで優美な姿を眼下に一望でき、利便、眺望ともに一級品だ▼京都大学の東京オフィスである。2016年に品川から移転した。産学協同研究の打ち合わせ、入試説明会、就職支援説明会、大学主催の講演会やセミナーなどが活発に開かれている。ラウンジの書架に置いてあった「京都大学概要2019」という小冊子に目を通した。これが興味深い▼京大といえば前身は「三高」、正式には旧制第三高等学校。これはよく知られているだろうが、もっとさかのぼっていくと第三高等中学校であり、これは京都へ移転する前は大阪にあった。さらに源流をさぐれば、大阪で1869年に設立された「舎密局」にたどりつく。舎密は化学を意味するオランダ語「chemie」に漢字をあてたもの。理化学を中心とする理科教育を目指す機関だった。京大のルーツは大阪であり、化学なのだ▼また、1897年(明治30年)設立当時の大学データが貴重だ。教員数9、学生数47、蔵書冊数4万1611。これが、大正、昭和、平成を経て令和元年には、教員2660、学生2万2469、蔵書712万6337となる。“明治は遙か遠くになりにけり”である。(19・11・27)

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