スマートフォンやタブレット端末を使用して学習するeラーニング市場が拡大している。近年、少子化や人手不足および長時間労働が社会問題となっていることなどを背景に、小中学生などの若年層や社会人への教育に時間を割くことが難しくなるなか、場所や時間を問わず比較的安価に学習できるeラーニングに注目が集まっている。
 矢野経済研究所の調べによると、国内のeラーニング市場の規模は2018年度が前年度比9・3%増の2185億円と予測され、19年度には同4・3%増の2279億円に成長すると見込んでいる。企業や団体内個人を含む法人向けのBtoB市場、学習塾や予備校が提供する進学・補習目的の通信教育サービスなどが中心となるBtoC市場、双方とも拡大傾向が続くとみている。
 BtoC市場については、小中学生の家庭内学習で著名企業によるeラーニングが普及しつつあり、テレビCMなどで目にする機会も多い。専用のタブレット端末を利用してインターネット経由で問題に解答するものが数多く存在する。塾通いと異なり、講師による対面指導は受けられないものの、最新の学習教材が自宅などで比較的安価に利用できるのはメリットだ。
 最近では、普段使用しているスマートフォンを利用する学習システムも増加している。専用端末が必要なく、ごく短時間で安価にどこでも著名な講師による授業やカリキュラムを受けられるとあって今後、その利用が加速しそうだ。
 一方、BtoB市場におけるeラーニングの活用では、各業界で近年顕著になりつつある人手不足への貢献が見込まれる。矢野経済研究所の調査では、働き方改革関連法の施行にともない、顧客企業が生産性向上・効率化を追求する流れを強め、残業時間に対する抑制も相まって時間や場所に対する制約が少ないeラーニングの需要が高まると予想している。
 加えて、eラーニングが製造現場などで長年蓄積された技術の後継者への伝達に貢献することも期待されるところだ。ベテラン技術者が定年退職を迎え、長年培ってきた各種技能の伝承が困難になりつつあり、そのままでは重要なノウハウが消えてしまう可能性もある。
 しかしeラーニングをはじめとする各種ツールを活用することで、経験の浅い技術者・未経験者が、ベテラン技術者が残した映像や音声を基に、例えば海外などの遠隔地でも容易に指導を受けることが可能になるだろう。ICT(情報通信技術)の進展が、こういった課題の解決に貢献することを望みたい。

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