プラスチックごみによる海洋汚染がマスコミに頻繁に取り上げられている。死んだクジラの胃袋から何十ものレジ袋が見つかったり、鼻にストローの詰まったウミガメが救助されるといった映像をみると心が痛む。米国の一部ではプラスチック製のストローが禁止され、代わりに中空のパスタを使うカフェもあるそうだ。ただ海洋ごみの第一の原因は処理のずさんさ。プラスチックには使われるべき理由がある。世の注目を集めている今こそ、プラスチックによる社会への貢献や、高いリサイクル率を実現した日本の取り組みを強く訴えるべきではないか。
 まずリサイクルの現状をみてみよう。プラスチック循環利用協会によると、2016年のわが国の廃プラスチックの総排出量は899万トンとなり、有効利用率は84%と高い水準。世界でもトップクラスにあり、リサイクルへの取り組みの意識の高さを示している。未利用分についても、その過半は焼却され、埋め立てに回るのは総排出量の7%にすぎない。
 農林水産省が作成・公表している「食品ロスの削減につながる容器包装の高機能化事例集」をみれば、プラスチックが極めて身近なところで役に立っていることがよく分かる。食品製造事業者および食品容器製造事業者から、幅広く容器包装に関する技術や手法を収集し「鮮度保持」「賞味期限の延長」「小分け・個包装」「内容物の分離性向上」「輸送時の損傷軽減」といった区分を設けて紹介している。全72事例の多くは化学素材が何らかのかたちで活用されており、とりわけプラスチックの重要な役割が再認識される内容となっている。
 プラスチックは温室効果ガス(GHG)削減にも役立っている。例えば果物や野菜の出荷。柔らかくて傷つきやすい桃は、プラスチックでできたネットで包んで輸送されている。もし、このネットがなかったらどうなるのか-。プラスチック循環利用協会がLCA(ライフサイクルアセスメント)という手法を使って調べた。ネットを作る分だけGHG排出量は増えるが、そのまま桃を段ボール箱に詰めただけでは7割が傷ついて商品にならない。仮にネットなしで傷のない桃を同じ数だけ運ぼうとすると、GHG排出量はネットを使った場合の3倍以上にもなってしまう。
 一見、環境に良さそうにみえることが、実際には逆の結果を招くこともある。プラスチックを悪者にして事足れりとするのは簡単だが、その価値を知っていながら「角が立つから」といって黙っているのも、同様に無責任ではないだろうか。

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