過去、何度か訪れた「ヘリウム不足問題」。筆者が産業ガス分野を担当していた2007年にも需給ひっ迫懸念が高まり、大手サプライヤーが半導体・液晶メーカーに使用量の節約を要請する動きがあった。300ミリウエハーの需要が拡大するなど国内電機各社の生産活動が活発だった頃の話だ▼日本物理学会などがこのほど発表した緊急声明文では「これまでで最も深刻なヘリウム危機が我が国を襲っている」と表現している。内需はここ数年、横ばいで推移しているが、世界市場をみると中国などアジア各国の需要が拡大していることが背景にある▼これに米国の在庫事情が重なって、輸入がかなり厳しくなることが分かってきた。今回、研究者らが声を上げたのは小口ユーザーである基礎科学分野へのしわ寄せが大きいとみているからだ▼アンケート調査では年単位契約で大幅な値上がりとなっただけでなく、スポットでは入手自体が困難になっているようだ。個別ユーザーの35%は購入できていないから価格動向が分からないと回答している▼カタールなど供給ソースの多角化は重要だが、今回の声明ではユーザー自らが実行すべきことを提言している。回収再利用の推進、備蓄拠点の整備には投資が必要になるが、産業界も連携して取り組んでいくことはできないだろうか。(20・1・10)

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