化学業界の歴史に詳しい経営学者であり、国際大学の学長である伊丹敬之氏が著した『平成の経営』を読んだ。平成を10年ごとに区分し、「バブル崩壊、そして金融崩壊」「産業迷走、つかの間の成長、そしてリーマンショック」「どん底からの回復」と時代を特徴付けている。こうしてみれば、平成はやはり激動の時代であったことが分かる▼伊丹氏といえば、この平成の初期1991年に『日本の化学産業-なぜ世界に立ち遅れたのか』を著した。業界にとって厳しいタイトルではあるものの、その総論の最後では日本の化学産業の明るい将来性を提示した▼その約20年後、今から10年前に伊丹氏は、『日本産業の化学化』という講演を行い、業界から再び注目を浴びた。要約すれば、「化学技術そのものへの需要の拡大と化学素材が様々な消費財や産業財の中で必須の部分として使われるという2つの意味で“産業の化学化”が強まる」というメッセージだった▼「化学の時代」と言われる21世紀も間もなく20年。平成の回顧だけでなく、21世紀初頭5分の1の総括も必要となってこよう。そんな区切りに意味があるのかという声も聞こえてきそうだが、区切りとか節目があるからこそ、私たちは過去を振り返り、先の時代を照らす光を求めようとするのではないだろうか。(19・4・17)

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